笑うことは脳にも心身にもよい

nounow編集部

笑うことは脳にも心身にもよい(イメージ)

年を重ねるごとに笑う頻度が少なくなりがちですね。ある研究結果では笑うことで認知機能の低下を抑え、心身にもよいことが示されています。

最近、笑ってますか?

子どもの頃、他愛もないことで常に笑っていた我々は、いつからか笑いを抑制することを覚え、年々笑う頻度は下がっていきがちです。ある精神科医は50代半ばになって落語にはまったといいます。「落語は人生で積み重ねた記憶の山を刺激するようなものであり、そこには少なからず辛い経験や窮地に追い込まれた人間にしかわからない笑いがある」、と。年を重ねてわかってくる笑いもあるのでしょうがやはり絶対量は減っていくように感じます。

笑うことによって脳に興奮が伝わり、情報伝達物質の神経ペプチドが活発に生産され、それが血液やリンパ液を通じて体中に流れ出し結果的には免疫力を高める効果があります。

この“笑い”の認知機能などとの関係性について、様々な研究が行われており、ここでは日本での研究を一つ紹介します。

笑いが脳や心身に与える影響とは

大阪府Y市M地区で実施された大平哲也准教授(大阪大学大学院医学系研究科)による2009年の研究では、笑いの頻度と認知機能との関連性を調べる疫学研究と、笑いの頻度を増やすための介入研究という2つの研究を行いました。

まず、地域住民を対象とした笑いの頻度と認知機能との関連についての疫学研究では、2007年度循環器健診を受診した地域住民 2,516 人を対象にして、笑う頻度等の調査や生活習慣・疾病の有無等についての問診・検査を実施しました。

ここでは、笑う頻度が少ない人ほど認知機能が低下している傾向があり、また笑う機会がほとんどない人はほぼ毎日笑う人と比較して2.1~2.6倍も認知機能低下のリスクが高いという結果が出ています。またその他でも、声を出して笑う頻度は男性よりも女性のほうが多いが年代とともにその頻度は少なくなり、特に70歳代でそれが顕著だということがわかりました。

次に、認知症予防を目的とした笑いの効果に関する介入研究です。この対象は公募に応じた46名(男性5名・女性41名/平均年齢66歳)で、以下のような2群に分けて研究を実施しました。

①「はりきりコース」2週間に1度・6か月間

  • 落語、笑いを取り入れた健康体操、笑いヨガなど、体験を通じた笑い体験の増加
  • 集団プログラムでのコミュニケーションを介した笑いの増加
  • イベントや映像、本等の紹介による日常的な笑いの機会増加の支援

②「ぼちぼちコース」4週間に1度・6か月間

  • 落語、イベントの紹介

※いずれも、初回と最終回の落語鑑賞前後に血圧・心拍・唾液中コルチゾールの測定と、介入期間前後にMMSEの認知機能テストや、心理的状況などを質問するアンケート調査を行い分析

この結果、うつ症状の得点に関して「はりきりコース」の方がより良化する傾向があり、生活の質に関するアンケートの得点は「はりきりコース」では、特に心の健康と精神的サマリーが有意に改善していました。これは健康教室に参加する回数が影響していると考えられます。

介入の前後で認知機能テストの得点に変化はなかったのですが、これまでの研究で70歳以上の高齢者では半年間に平均1点低下することが報告されており、介入したことで点数の低下が防げたという介入効果が考えられます。

笑う人のほうが、認知機能低下せず心身も健康に

笑いの効果(イメージ)Photo by pixabay

上記のように、笑いの頻度が少ないほど認知機能低下症状を有するリスクが2倍以上高くなることや、心身の状態も比較的不健康であることが示されました。今後の継続研究により笑いが認知機能にもたらす影響について、さらなる解明が期待されるところです。

笑う門には福来るといいます。笑いを増やすと「認知機能維持」という福がくるかもしれませんね。

(出典)大平哲也:認知症予防を目的とした笑いの効果についての実践的研究、日本生命財団研究報告書(2009)
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