「ココナッツオイル販売会社に措置命令」から読み取るべきこと

nounow編集部

認知症に効くちされるココナッツオイル(イメージ)
出典元:pixabay.com

3月末、ココナッツオイル販売会社に消費者庁から措置命令が下されました。「ココナッツオイルを使った商品ががんや心臓病、認知症などの病気を予防するかのように表示したがその効果について合理的な根拠を示さなかった」とのこと。ではココナッツオイルに効能はない?

消費者庁からの景品表示法に基づく措置命令

3月31日、ココナッツオイル販売の会社に対して、消費者庁が景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして再発防止を求める措置命令を出しました。

消費者庁は、本日、ココナッツジャパン株式会社(以下、ココナッツジャパン)に対し、景品表示法第6条の規定に基づき、措置命令(別添参照)を行いました。
ココナッツジャパン株式会社が供給する「エクストラバージンココナッツオイル」と称する食品及び「エクストラバージンココナッツオイルカプセル」と称する食品の、認知症・ガン等の各種疾病を予防する効果等に係る表示について、景品表示法に違反する行為(表示を裏付ける合理的根拠が示されず、同法第4条第2項の規定により同条第1項第1号(優良誤認)に該当)が認められました。
(引用)消費者庁HP 

消費者庁のリリースによると、ココナッツジャパン社は自社webサイト上でココナッツオイル製品を摂取することで、認知症やがん等の予防効果があるような表示をしていました。

  • 「ココナッツオイルで認知症の予防・改善」と記載
  • 「ココナッツオイルでガン予防」と記載
  • 「ココナッツオイルでウイルス感染を防ぐ」と記載
  • 「ココナッツオイルが心臓病を予防する理由」と記載
  • 「ココナッツオイルがアルツハイマー病に効果がある理由」と記載
  • 「ココナッツオイルに含まれるのは中鎖脂肪酸ですから、すぐにエネルギーとなってくれるため体内に溜まることはありません。むしろ体内に溜まっている脂肪をエネルギーに換えてくれるので、便秘だけでなく、ダイエットにも効果を期待することができます。」と記載

(引用)消費者庁HP 

これに対して、景品表示法第4条第2項の規定に基づき表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、ココナッツジャパンから提出された資料は表示の根拠を示す合理的な資料と認められなかったために措置命令がくだりました。

なぜ、ココナッツオイルが流行したのか?

ココナッツオイルの人気が広がった理由としてあげられるのが、中鎖脂肪酸が豊富な点です。

中鎖脂肪酸とは天然成分でココナッツやパームフルーツに多く含まれています。食べた後にすぐに分解されてエネルギーになるため、他の油よりも体内に蓄積しません。また、高齢者の低栄養状態の改善などにもよく使用されています。

近年、「認知症予防に効果がある」とも言われ、高齢者の認知機能改善にココナッツオイルが効果ありとテレビ番組で放映されるなど様々なメディアで取り上げられていました。

中鎖脂肪酸が認知機能改善効果を示すとする論文も存在します。

Henderson ST, Vogel LJ, et al. Study of the ketgenic agent AC-1202 in mild to moderate Alzheimer’s disease:a randamized double-blind, placebo-controlled, multicenter trial. Nutr Metab( Lond)

これは、中等度のアルツハイマー病と診断された152名を対象に行われた介入研究であり、中鎖脂肪酸を摂取するグループとそうでないグループに分け、摂取前、45日後、90日後、104日後に認知機能を調べた結果、中鎖脂肪酸を摂取したグループの認知機能が顕著に改善しました。

この研究含め、中鎖脂肪酸が認知機能を改善することを示すエビデンスはいくつか存在し 中鎖脂肪酸が豊富なココナッツオイルの認知機能改善効果は否定されるものではありません。(逆に十分にエビデンスが揃っているともいえない段階ですが)

(出典)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2731764/

ココナッツオイルそのものが否定された訳ではない

今回の報道をうけて「ココナッツオイル=効能なし」という印象を受けている方も多いと考え、nounow編集部では消費者庁に今回の措置命令に関して電話で確認してみました。

”ココナッツジャパンが取り扱う製品の「認知症、がんなどを予防する」という表記に合理的な根拠は認められないと判断したが、一般論としてのココナッツオイルの効能に言及したものではない”という趣旨の回答でした。

消費者庁では平成26年11月に「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」というガイドラインを公表しており、これに沿った表記が求められます。

「事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の具体的事例」の「6 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ることの例」には「効果、性能に関する表示であれば、検査データや専門機関による鑑定結果等を保有していなければならない」とあり、効能を表記するならば合理的なエビデンスの保有が必須です。

今回ココナッツジャパン社は、十分に合理的な根拠を保有せずに認知症やがん、心臓病など万病を予防するという誤解を与える表記を行ったとして措置命令をうけたのであって、消費者庁がココナッツオイルの効能を否定したわけではないことに注意する必要があります。

高齢者の4人に1人が発症する認知症は、年齢を重ねるほど発症率が高まります。この不安につけこんだ商法は排除されるべきですし、事業者は法を遵守した表記をすべきです。

一方で我々は事業者の表記の問題と、今回のケースでいうとココナッツオイルの効果の有無をわけて考えねばなりません。ニュースを正確に読み取るリテラシーを身につけたいですね。

(出典)消費者庁HP