魚と脳のイイ関係

nounow編集部

魚が脳にいい?(イメージ)
出典元:pixabay.com

魚は食物連鎖によって水銀を取り込むものの認知症との関連性はなく、魚の積極的摂取が遺伝的リスクを負う人の脳を守るとの研究結果が発表されました。また、魚は週1度程度、焼くかグリルか刺身で食べると脳に良さそうです。

魚は良いというけれど・・・

魚にはDHAやEPAなどのn-3系脂肪酸が豊富に含まれています。DHAは脳内の神経細胞膜を作る材料であり、神経細胞にダメージを与える活性酸素の消去能力を高め、「サイトカイン」と呼ばれる炎症性物質の過剰生産を抑える働きがあります。また、DHAやEPAは中性脂肪を減らし血小板凝集を抑える効果があり動脈硬化や脳梗塞・心疾患なども予防するとされます。

一方で厚生労働省は平成15年に「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」を公表し(以後数回内容を改訂)、「魚は通常の食生活の範囲であれば健康には良いが妊娠中は魚に含まれる水銀摂取量に注意すべき」としています。特に妊娠経験のある女性の中には「魚は好きだけど食べ過ぎると水銀が気になる」という方もいるのではないでしょうか?

ちなみに厚生労働省によると、大きな魚(金目鯛、メカジキ、本マグロ、マッコウクジラなど)は食物連鎖によって自然と多くの水銀を体内にとりこむため注意する必要があり、妊婦は一定の摂取量におさえるべきとしています。我々が普段よく食べるサケ、サバ、アジ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは特に注意する必要なしとしています。また妊婦でない人の通常の食生活においては平均的な摂取量である限り特に注意する必要はないとのことです。

水銀と認知機能

Journal of the American Medical Associationの2016年2月2日号に掲載された研究では、「魚に含まれる水銀は知能の低下を引き起こさない」また「人によっては魚を多く食べることでアルツハイマー病が防げるかもしれない」ことが示されています。

この研究は2004年から2013年の間、米国イリノイ州Rush大学で行われ、研究プロジェクト参加者は登録時に認知症の症状がなく、毎年神経学的評価を受け死亡時には脳剖検を受けることに同意しました。参加者の死亡時の平均年齢は約90歳で67%が女性でした。参加者の週毎のシーフード摂取量を算出するため、死亡の4.5年程度前から食事アンケートを取りました。

剖検を行った286人の脳から組織検体が採取され、金属濃度や脳卒中、アルツハイマー病を示す斑や神経原線維、レビー小体病などがないかも調べられました。

マーサ・クレア・モーリス教授曰く

シーフード摂取量の多さと脳内の水銀濃度の高さは、少しではあるが重要な関連性があったが、脳内の水銀の多さは、認知症に伴ういずれの神経病理と全く関連性がない

とのことでした。

魚が遺伝的リスクを負う人の脳を守る

また研究では 魚などシーフードを適度に摂取することにより、アルツハイマー病の遺伝的リスク※を負う人の脳を守る効果があるかもしれない としています。

※アルツハイマー病の遺伝的リスク=APOE ε4タイプの遺伝子を1つもっているとアルツハイマー病の発症リスクが標準リスクの人の約3倍、2つもっているとおよそ10倍になるといわれる(参考:nounow「遺伝子検査で簡単にアルツハイマー病の発症リスクがわかる?」

魚を週一回以上食べるとアルツハイマー病による脳損傷が少ないことが判明したのですが、これはAPOEε4という遺伝子をもつ人のみでAPOEε4をもたない人ではこの保護効果はみられなかったとのことです。

魚は焼くかグリルが脳にいい!?

魚をグリルで焼く(イメージ)
Photo by pixabay

2014年に発表された米ピッツバーグ大学の研究では週に1度フライパンかグリルで調理した魚を食べると、脳に良いという結果が示されています。

この研究では、参加者65歳以上の260人を対象に心臓病の危険因子を特定するため、1989年から10年間追跡し調査しました。参加者に、魚をどのくらいの頻度で食べ、それをどのように調理したのか、といった食事スタイルに関する詳しい情報を聞き、高解像度の脳のMRIスキャンをとりました。

 その結果、魚を週に1回以上、焼いたかグリルして調理して食べた人は、魚をまったく食べていなかった人よりも、記憶力(4.3%増)と認知力(14%増)を司る脳領域の灰白質の容積がそれぞれ大きくなっていました。なお、魚をフライにして食べていた人では、脳の容積に変化はなかったようです。

研究を主導したサイラス・ラジ氏によると 「魚の脂肪酸は高熱で調理すると壊れてしまうので油で揚げるよりも、フライパンで焼いたりグリルした方が、オメガ3脂肪酸を多く摂取できる」とのことです。

魚は油であげるより焼いたりグリルしたり刺身でとる方が脳には良さそうです。

(出典)https://www.nlm.nih.gov/medlineplus/news/fullstory_157029.html
http://www.upmc.com/media/NewsReleases/2014/Pages/pitt-study-fish-boots-brain-health.aspx