ラズベリーは脳にも体にもうれしい実!?

大塚真紀

ラズベリーが認知症予防に効く(イメージ)

古くからメディカルハーブや生薬として重宝されてきたラズベリー。その成分の抗酸化作用や抗炎症作用がアルツハイマー病にも有効である可能性が発表されました。

ラズベリーとは

ラズベリーは、バラ科キイチゴ属に属する低木のことで白い花が咲いた後に赤い実をつけます。ヨーロッパではキイチゴ、西洋キイチゴなどとよばれ、ケーキやジャムなどによく使われます。フランス語のフランボワーズもラズベリーのことです。

ラズベリーの最初の栽培は1548年頃に行われ、イギリスで修道士が滋養強壮のために栽培していたといわれています。その後ヨーロッパを中心にラズベリーの栽培が広がり、19世紀頃に日本に伝わったとされています。

ラズベリーはヨーロッパにおいて、食料としてだけでなく、美容と健康の維持をする目的で用いるメディカルハーブとして重宝されてきました。例えば女性の出産前にはつわりの改善効果、出産後は体の回復の促進効果が期待されるためラズベリーのハーブティーが飲まれてきたそうです。また、下痢や赤痢、外傷や結膜炎などにも使用されてきました。

中国ではラズベリーがフクボンシの名で親しまれ、古くから生薬として使用され、利尿作用があるとされています。

ラズベリーには、ラズベリーケトンやエラグ酸、エラジタンニン、アントシアニンという成分だけでなく、食物繊維やビタミンE、ミネラルなどが多く含まれることがわかっています。

ラズベリーがもたらす健康効果

ラズベリーには、健康に対するさまざまな効果があることが知られており、今まで糖尿病、肥満、心血管疾患、動脈硬化などに対し研究成果が報告されています。

例えばラズベリーの香り成分でもあるラズベリーケトンは、脂肪分解作用があるといわれています。ラズベリーケトンは脂肪を分解する酵素と脂肪の結合を促進することによって肥満を改善する効果が期待されます。食物繊維も多く含まれることから、コレステロールや糖質、老廃物などが腸管から吸収されることを阻害するため糖尿病や高血圧、動脈硬化の予防効果があるとされています。

また老化を防ぐといわれるエラグ酸は、赤いラズベリーに最も多く含まれるといわれており、細胞の突然変異を抑えるだけでなく、体にとって悪い毒素を排除する作用があるそうです。エラグ酸は抗酸化作用もあり、美白効果も期待できます。

他には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも多く含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用によって心血管疾患の予防効果があるとされています。

認知症の予防にラズベリーが有効な可能性

アメリカの研究チームは、今まで報告されているラズベリーの有効成分による研究成果をまとめ、ラズベリーが心血管疾患や動脈硬化、肥満、糖尿病だけでなく、アルツハイマー病にも有効である可能性があることを2016年1月に「Advances in Nutrition」誌に発表しました。

研究チームが今までの報告をまとめた結果によると、アルツハイマー病に対するラズベリーの効果を証明する研究は細胞を用いたものが1つありました。その研究では細胞を使用し、ラズベリーの成分であるエラグ酸がアルツハイマー病の原因であるアミロイドβの形成と神経障害を改善したことを報告していました。他にも脳の神経の改善効果を証明する研究はありましたが、脳の外傷や炎症に対して効果があるとされるものでした。

しかし、研究チームは、今までラズベリーの成分であるエラグ酸やアントシアニンが、抗酸化作用、抗炎症作用などによって糖尿病、動脈硬化、心血管疾患に効果があると明らかにされていることから、それらの病気と密接に関連しているアルツハイマー病にも効果が期待できるのではないかと結論付けています。

ラズベリーに関連する多くの健康効果がすでに報告されていることがわかりましたが、アルツハイマー病や認知症に対してはまだ十分とはいえません。今回の論文内の研究でも、アルツハイマー病に対する研究は細胞に対して行われているため、今後ヒトを対象にした研究が行われることが期待されます。

<参考論文・参考資料>
Adv Nutr. 2016 Jan 15;7(1):44-65.
Red Raspberries and Their Bioactive Polyphenols: Cardiometabolic and Neuronal Health Links.
Burton-Freeman BM, Sandhu AK, Edirisinghe I.