オメガ3系脂肪酸はビタミンBと一緒に摂ると認知症予防に

大塚真紀

オメガ3系脂肪酸はビタミンBと一緒にとると効果的(イメージ)
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DHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸とビタミンBはそれぞれ認知機能改善効果について多くの研究が行われてきていますが、今回紹介する論文ではその相乗効果が明らかにされています。

オメガ3系脂肪酸とビタミンBとは

オメガ3系脂肪酸とは、魚介類に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)や食用調理油のα-リノレン酸をさします。なかでも、DHAやEPAは脳の神経細胞の活性化や血流改善効果、善玉コレステロール増加効果などが注目されており、サプリメントとしても販売されています。

一方でビタミンBには、多くの種類があります。ビタミンB1、B2、ナイアシン (B3)、パントテン酸 (B5)、ビオチン (B7)、ビタミンB6、葉酸 (B9)、B12の8種類がビタミンB群として知られています。体の生理反応に必要な酵素を助けるはたらきをしているので、体にとって必要なビタミンです。しかし、水溶性ビタミンなので使用されなかったものは尿などから排出されてしまうため、毎日食べ物やサプリメントなどから摂取しないと不足してしまう可能性があります。

オメガ3系脂肪酸とビタミンBの健康効果

オメガ3系脂肪酸の中でも、今回の論文で注目されているEPAとDHAは魚に多く含まれており、今までの報告で認知機能の悪化予防や血液中の中性脂肪の低下、心筋梗塞の発症率の低下、脳卒中再発予防などの効果が明らかにされています。

ただし、アメリカで行われた大規模な研究では、サプリメントとしてEPAやDHAを高齢者4000人に投与したところ認知機能の改善は認められなかった(http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2429713)ので、現時点では魚などの食べ物から摂取した方がよさそうです。

ビタミンBの中で、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12は、過剰に体の中に発生すると有害といわれているホモシステインとよばれるアミノ酸を減少させる作用があることが知られています。

血液中のホモシステインが増えると、動脈硬化を促進させるだけでなく、認知症やアルツハイマー病のリスクになることがわかっています(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11844848)。そのため、今までビタミンBを投与し認知症やアルツハイマー病が予防できるかどうかを検証する研究がいくつか行われています。

ビタミンBの認知症予防効果はオメガ3系脂肪酸によって左右される

アラブ首長国連邦やイギリスなどの共同研究チームはヒトを対象とした研究で、認知症の予防にはオメガ3系脂肪酸とビタミンBの両方が有効である可能性を2015年に「Journal of Alzheimer’s Disease」誌に発表しました。

研究チームは以前に、軽度認知機能障害の人に対してビタミンBを投与すると認知機能障害の悪化を予防できることを報告しています。

研究では、70歳以上の266名の軽度認知機能障害の方を対象としており、ビタミンBのサプリメント(葉酸、ビタミンB6、B12を含む)を投与するグループと何も入っていない偽サプリメントを投与するグループにわけ、2年間にわたり服用するようにしました。研究対象者には、サプリメントにビタミンが含まれているかどうかは知らされません。また、血液中のオメガ3系脂肪酸(DHA、EPA)の濃度を測定しました。

結果としては、ビタミンBを服用し、なおかつ血液中のオメガ3系脂肪酸の濃度が高いグループにおいて認知機能を測定するいくつかの認知機能テストの結果がよいことが明らかになりました。つまり、血液中のオメガ3系脂肪酸濃度が高い人において、ビタミンBによる認知機能障害の改善効果が認められました。

今まで他国から報告されている研究結果では、ビタミンBによる認知機能障害の改善効果があるものとないものがあり、その効果は賛否両論でした。しかし、今回の研究結果から研究チームはビタミンBの認知症予防効果に差があったのは、血液中のオメガ3系脂肪酸の濃度が十分か不足しているかで結果が変わっていた可能性があるからではないかと指摘しています。

研究チームは、以前にビタミンBを投与した軽度認知機能障害の人において、血液中のオメガ3系脂肪酸の濃度が高いグループで脳の委縮する速度が低下したことを発表しています。脳の委縮は、記憶や言語能力などをテストする認知機能テストと関連するため、今回の研究結果と合わせてビタミンBはオメガ3系脂肪酸の血中濃度が十分な人において認知機能改善効果があるのではないかと結論付けています。

今後、より研究対象とする人数を増やし、ビタミンBとオメガ3系脂肪酸を合わせたサプリメントが認知症の予防に有効かどうか大規模に研究されることが期待されます。

<参考論文・参考資料>
J Alzheimers Dis. 2015;50(2):547-57. doi: 10.3233/JAD-150777.
Omega-3 Fatty Acid Status Enhances the Prevention of Cognitive Decline by B Vitamins in Mild Cognitive Impairment.
Oulhaj A, Jernerén F, Refsum H, Smith AD, de Jager CA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26757190

>Am J Clin Nutr. 2015 Jul;102(1):215-21. doi: 10.3945/ajcn.114.103283. Epub 2015 Apr 15.
Brain atrophy in cognitively impaired elderly: the importance of long-chain ω-3 fatty acids and B vitamin status in a randomized controlled trial.
Jernerén F, Elshorbagy AK, Oulhaj A, Smith SM, Refsum H, Smith AD.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25877495