サプリメントは組み合わせるとアルツハイマー病の発症予防に

大塚真紀

サプリメント(イメージ)
出典元:pixabay.com

脳に良いとされる成分はサプリメントで気軽に摂れるようになりましたが一種類の成分のみを摂取するのではなく、複数種を組み合わせて摂るとアルツハイマー病の予防効果があるとする日本の研究チームの研究結果をご紹介します。

オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンとは

今回紹介する研究では、オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンを含むサプリメントが認知症予防に有効であるかどうかを検討しています。

オメガ3系脂肪酸とは、魚に多く含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)や食用調理油のα-リノレン酸のことをさします。EPAやDHAは、「脳によい」とされサプリメントとして販売されているのを見たことがある方も多いかもしれません。EPAやDHAが脳によいとされている理由は、脳の神経細胞の活性化や血液の流れを改善する効果があるといわれているからです。

イチョウ葉エキスは、5000年以上前から漢方の成分として使用されています。ドイツやフランスではめまいなどに対する医薬品としても認可されています。イチョウ葉エキスには、フラボノイドなどのポリフェノールが多く含まれているので、抗酸化作用があるといわれています。酸化は、体にとって有害な活性酸素が細胞に傷がつくことをさし、老化や炎症などさまざまな病気の原因とされています。抗酸化作用のある成分は、酸化を防ぐため老化や炎症に関連する病気を改善する効果があるのではないかと期待されています。

リコピンは、トマトや緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。リコピンは熱に強く、加工しても変わらないという特徴があるため、トマトケチャップなどにも含まれています。リコピンは、イチョウ葉エキスと同様に抗酸化作用があるといわれており、その効果はビタミンEの100倍以上になることがわかっています。

オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンの健康効果

オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンは、全て脳の神経細胞や血管、血流によい効果があるといわれている成分です。

EPAやDHAに代表されるオメガ3系脂肪酸は、魚貝類に多く含まれており、認知症の予防や中性脂肪の低下、心筋梗塞発症率の低下、脳卒中の再発予防などの効果が明らかにされています。ただし、アメリカで行われた大規模な研究によるとサプリメントでオメガ3系脂肪酸を摂取しても認知機能の改善効果が見られなかったとされているので、現時点ではなるべく食事から摂る方がよいと考えられています。

イチョウ葉エキスには、抗酸化作用があるため脳の神経細胞の保護効果や血流改善効果が期待され、ヒトを対象とした臨床研究も行われています。結果としては、認知機能の改善が認められたとする研究が多いですが、改善がなかったとする研究もあるため現時点ではイチョウ葉エキスによる認知症予防効果は賛否両論といえます。

リコピンも強い抗酸化作用が知られており、ラットを対象とした研究では脳の炎症を抑えることによって学習と記憶の能力低下を改善できることが明らかになっています。

オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンを含むサプリメントはアルツハイマー病を予防する

日本の研究チームはヒトを対象とした研究で、認知症の予防にはオメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンを全て含むサプリメントがアルツハイマー病の発症を予防する可能性があることを2015年に「Journal of Alzheimer’s Disease」誌に発表しました。

研究では、日本に住む65歳以上の高齢者918人を対象として以下の4つのグループにわけました。運動療法も認知症に対する予防効果があるといわれているため、サプリメントの効果と比較するために運動療法を行うグループも設定しています。

1, オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンを全て含むサプリメントを3年間飲むグループ(171人)
2, 運動療法を2年間行うグループ(241人)
3, サプリメントと運動療法を両方行うグループ(148人)
4, サプリメントも運動療法も行わないグループ(358人)

研究の開始から、3-4年後に1度目の認知機能検査、さらに4年後に2度目の認知機能検査を行い、結果を解析しました。
研究期間中に、76名がアルツハイマー病と診断されました。

結果としては、サプリメントをきちんと内服したグループが他のグループと比べて、最もアルツハイマー病の発症リスクが低いことが明らかになりました。

今までの研究では、オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキス、リコピンをそれぞれ投与するものがほとんどだったので、今回の研究で認知症に対する予防効果がある成分を複数組み合わせることもアルツハイマー病の予防効果を得られる可能性を示すことができました。

今回の研究結果は、日本人の一部の地域におけるものなので、今後多くの人を対象とした研究が行われることが期待されます。

<参考論文・参考資料>
J Alzheimers Dis. 2015;45(1):15-25. doi: 10.3233/JAD-142232.
A combination of supplements may reduce the risk of Alzheimer’s disease in elderly Japanese with normal cognition.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25524956