緑茶をたくさん飲む人ほど、認知症の発症リスクが減る-大崎コホート研究より

工樂真澄

茶畑(緑茶)イメージ
出典元:pixabay.com

「緑茶が認知症の予防に効果あり」というトピックは以前nounowでも取り上げた通りですが、今回は2016年7月新たに発表された、「緑茶と認知症発症に関する大規模調査」 の詳細な結果をご紹介します。

緑茶を多く飲む人ほど認知症発症リスクが低い

2006年から宮城県の大崎市で「大崎市民コホート研究」が行われています(宮城県大崎市の住民に対する生活習慣調査および追跡調査に基づく疫学研究 )。東北大学大学院の辻一郎教授が中心になって行っているこの調査は、食事や運動の習慣、健康状態や生活状況などから、介護を要するような状況に結びつく要因を探ることを目的としています。対象となるのは、大崎市在住の40歳以上、約5万人の方々です。

今回発表された論文は、このコホート研究の中から65歳以上の約1万3千人を対象に、緑茶が認知機能に及ぼす影響をまとめたものです。調査は5年以上に渡って行われ、調査期間中に認知症と診断されたのは1186人でした。

1日に100ミリリットルの緑茶を何杯飲むかによって調査対象者を分類したところ、認知症を発症した人の割合が最も多かったのは、1日に一杯も飲まないグループでした。1日に5杯以上の緑茶を飲むグループでは認知症発症者の割合が有意に低く、また飲む量が多いほど発症リスクは低くなる傾向が見られました。

緑茶の何が効くのか

以前nounowでもとりあげましたが(緑茶のポリフェノールが認知症リスクを軽減させる)緑茶成分である「カテキン」は「ポリフェノール」の一種であり様々な効能があります。

ポリフェノールは植物が作る成分ですが、そもそも植物は紫外線や害虫、菌から自分の身を守る目的で、ポリフェノールを生産していると考えられています。ほとんどのポリフェノールが抗酸化能を示すのは、そのためでしょう。

カテキンは緑茶だけでなく、紅茶やほうじ茶など他の種類のお茶にも多く含まれます。それでは緑茶に特有の成分とはなんでしょうか? とりわけ緑茶に多く含まれているのが「エピガロカテキンガレート(EGCG)」とよばれる種類のカテキンです。EGCGは抗酸化作用によって神経細胞の保護や、酵素を活性化する作用があると考えられています。

小規模な研究ですが、緑茶から抽出した成分を摂取することでワーキングメモリーに良い影響があった、という報告もあります。その他にもカテキンが血糖値を正常に保つことから、肥満を抑えて糖尿病予防につながる、また骨の代謝に関わる酵素を調節することで骨粗しょう症を予防したりする、などの効果が報告されています。

他のお茶ではダメ?

今回のコホート研究では、緑茶とともに紅茶とウーロン茶を飲む習慣についても調査されましたが、そのどちらも認知症発症との関連は見られませんでした。

日本では日常的に緑茶を飲む習慣があり、現在ではペットボトルでも手軽に本格的な日本茶を楽しむことができます。今回の調査結果は、日頃の食習慣が病気の予防につながることを顕著に示した好例です。ふだんはコーヒーや紅茶ばかりという方も、今日から緑茶習慣を始めてみてはいかがでしょう。

Green Tea Consumption and the Risk of Incident Dementia in Elderly Japanese: The Ohsaki Cohort 2006 Study.
Tomata Y, Sugiyama K, Kaiho Y, Honkura K, Watanabe T, Zhang S, Sugawara Y, Tsuji I.
Am J Geriatr Psychiatry. 2016 Jul 18. pii: S1064-7481(16)30177-4.