こんがり焼けた美味しい食事はアルツハイマー病のリスクになる

大塚真紀

AGE(イメージ)
出典元:pixabay.com

きつね色に焼けた料理のほんのりついた焦げ目にはアルツハイマー病の発症リスクを高める物質が含まれていることがわかりました。その物質について詳しくご紹介します。

AGEとは

AGEとは、Advanced Glycation End Productsの略で終末糖化産物のことです。終末糖化産物をわかりやすくいうと、タンパク質と糖が加熱されてできた物質のことです。

AGEが体内に蓄積すると老化が進むことがよく知られています。一方で、血管にAGEが蓄積すると心筋梗塞などの心臓病や脳梗塞などの脳血管疾患、骨に蓄積すると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を引き起こすといわれています。

AGEは、血液中のブドウ糖が過剰な状態になるとタンパク質でできている人間の細胞や組織と結びつき、体温で熱せられることによって産生されます。すぐに血糖値が下がれば、AGEが産生されたとしても元のタンパク質に戻ります。しかし、血糖値が高い状態が続くとAGEは毒性の強い物質に変わる可能性があります。

また、AGEを含む食事や飲み物を多く摂っていると体の中に蓄積することがあります。例えば、ホットケーキは糖である小麦粉とタンパク質である牛乳や卵を混ぜて焼くことによって作ります。ホットケーキの表面のきつね色の部分は、糖化している状態なのでAGEが発生しています。ほとんどは消化の段階で分解されるので心配しすぎることはありませんが、約7%は排泄されずに体に残るといわれています。

AGEはアルツハイマー病のリスクになる

フランスの研究チームは、食事に含まれているAGEがアルツハイマー病のリスクになることを2015年に「Journal of Alzheimer’s Disease」誌に発表しました。

研究チームは、世界各国のアルツハイマー病の発症率と食事内容のデータを収集し、食事中に含まれていると推定されるAGE値がアルツハイマー病の発症に関与しているかどうかを解析しました。推定AGE値のデータは、アルツハイマー病を発症する20年前のものを採用しました。

今回の研究で使用されたデータには、世界11か国のもの、また発展途上国が7か国、アジアでは日本のものも含まれていました。研究結果では、食事中のAGEを減らすとアルツハイマー病の発症率が低下することが明らかになりました。つまり今回の研究から、食事に含まれるAGEが、アルツハイマー病の発症リスクになることがわかりました。

今回の研究は、世界各国のアルツハイマー病の発症率と食事中の推定AGEの関連を検討したという点で興味深いものです。しかし、あくまで食事中のAGEが推定であること、AGEの発生に重要とされる調理の仕方などが考慮されていないことなどが研究の限界と考えられます。

今後、AGEのより正確なデータとアルツハイマー病の発症率を検討した大規模な研究が行われることが期待されます。

AGEを減らす生活習慣とは

AGEは、血糖値が高い状態が長く続くと産生されることがわかっています。また、AGEを多く含む食べ物を頻回に食べていても蓄積されることがあります。

血糖値を上げないようにするためには、1口30回を目安によく噛みゆっくり食べること、野菜から食べ始めて肉や魚、ご飯の順に食べること、腹八分目にすること、甘いものは食後にとるように心がけること、食後に体を軽く動かすこと、ストレスをためこまないようにすることなどが有効です。なぜストレスがよくないかというと、ストレスをためると血糖値を上げるホルモンが分泌され、AGEが増えるからです。

AGEは、加熱して焼けたきつね色の部分に発生するのでとんかつや唐揚げ、焼き鳥、ステーキなどには多く含まれています。また、ポテトチップスやタバコにもAGEが多く含まれます。清涼飲料水に含まれる人工甘味料は、ブドウ糖の10倍の速度でAGEを作るといわれています。一方で、生野菜や刺身、蒸すまたは煮ることによって調理した食事はAGEが少ないと考えられています。

AGEが多いから食べてはいけないわけではなく、AGEを意識しながらバランスよく食事を摂ることが大切です。

<参照サイト・参考論文>
http://www.age-sokutei.jp/about/
J Alzheimers Dis. 2015;45(3):965-79. doi: 10.3233/JAD-140720.