魚を食べて運動をすると脳の萎縮が防げる!?

大塚真紀

魚を食べて運動する(イメージ)
出典元:pixabay.com

脳に良いとされるものを組み合わせるとより高い効果が得られる?これまでも脳に良いものの組み合わせについて紹介してきましたが、今回はオメガ3系脂肪酸と有酸素運動の組み合わせについての論文を紹介します。

オメガ3系脂肪酸が脳に与える影響

オメガ3系脂肪酸とは、魚や貝類に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)や食用調理油のα-リノレン酸のことです。特に、DHAやEPAは脳の神経細胞の活性化や血流改善効果、善玉コレステロール増加効果などがあるといわれています。今までの医学研究では、認知症の悪化予防や心筋梗塞の発症率低下、脳卒中の再発予防効果があることが明らかにされています。

サプリメントとしても販売されていますが、アメリカで行われた4000人の高齢者を対象にした研究ではサプリメントとして摂るよりも魚などの食べ物から摂取した方がよいといわれています。(http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2429713

運動が脳に与える影響

運動が脳に良い影響を与えるという研究報告は多くあります。例えば、70歳から81歳の女性18766人を対象とした研究では、週に12時間のウォ―キングか4時間のランニングをしていると、記憶や認知機能の衰える確率が20%低くなることが明らかになっています。(http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=199487

その他にも、運動によって記憶をつかさどる海馬や前頭葉と側頭葉の容量が増えたとする報告があります。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21282661)運動によって脳の血流が増え、新しい血管ができるだけでなく、脳神経の伝達物質が増えるので、脳の神経細胞が活性化されたためではないかと考えられています。

オメガ3系脂肪酸と有酸素運動は脳の萎縮を予防する

ドイツの研究チームは、オメガ3系脂肪酸だけ摂取するよりも、オメガ3系脂肪酸と有酸素運動を組み合わせた方がアルツハイマー病に見られるような脳の萎縮を予防できる可能性があることを2016年5月に「Neuroimage」誌に発表しました。

60-90歳の軽度認知機能障害を有する35名を対象として、オメガ3系脂肪酸のサプリメントだけを内服するグループ、オメガ3系脂肪酸のサプリメントと有酸素運動を組み合わせるグループに分けて研究を開始しました。
オメガ3系脂肪酸のサプリメントは、1日2.2gを服用することとし、1320mgのEPAと880mgのDHAを含んでいました。また、有酸素運動は1週間に2回、運動トレーナーの指導の下で45分間の運動を行うこととしました。サプリメントの内服と有酸素運動は、6か月間継続して行いました。

最終的に、全ての研究行程と検査を終えられたのは、オメガ3系脂肪酸のサプリメントのみ内服するグループは13名、サプリメントと有酸素運動を組み合わせるグループは9名となりました。

研究開始時と終了時の脳MRI画像を比較したところ、サプリメントと有酸素運動を併用したグループにおいて、脳の前頭葉や側頭葉の萎縮が抑制、または容量が増加していることが明らかになりました。つまり、サプリメント単独よりも運動を組み合わせた方が、脳にとってよい効果が得られるということです。
しかし、認知機能や血管や代謝、炎症に関連する検査項目に関しては両グループにおいて差はありませんでした。

認知症予防になるものとして今回の研究で注目されているオメガ3系脂肪酸や運動だけでなく、ビタミンB、C、Eなどの各種ビタミン、リコピン、ポリフェノール、ナッツ、音楽などがすでに報告されています。nounowでも紹介してきたように、音楽と運動の組み合わせ(運動は音楽と組み合わせると、もっといい!?)、オメガ3系脂肪酸とビタミンBの組み合わせ(オメガ3系脂肪酸はビタミンBと一緒に摂ると認知症予防に)、オメガ3系脂肪酸、イチョウ葉エキスとリコピンの組み合わせ(サプリメントは組み合わせるとアルツハイマー病の発症予防に) など認知症予防によいとされているものをいくつか組み合わせることで、1つだけよりもより高い効果を期待できることがあるようです。

今回の研究も、オメガ3系脂肪酸と運動という脳にとってよいものを2つ組み合わせることによって、アルツハイマー病で見られるような脳の萎縮を防ぐという効果を得ることができています。

今後、より多くのヒトを対象とした大規模な研究によって、今回の研究の同様に脳の萎縮防止を認められるか、また認知機能の改善も認めることができるかどうかが検証されることが期待されています。

<参考論文>
Combined omega-3 fatty acids, aerobic exercise and cognitive stimulation prevents decline in gray matter volume of the frontal, parietal and cingulate cortex in patients with mild cognitive impairment.
Köbe T, Witte AV, Schnelle A, Lesemann A, Fabian S, Tesky VA, Pantel J, Flöel A.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26433119