アルツハイマー病の予防にココナッツが効く可能性

大塚真紀

ココナッツが認知症予防になる(イメージ)
出典元:pixabay.com

ココナッツに豊富に含まれている中鎖脂肪酸にアルツハイマー病の予防効果があるというオーストラリアの研究についてご紹介します。

ココナッツとは

ココナッツとは、ヤシの木の1種であるココヤシの実のことです。ココナッツは昔から、栄養価の高さから健康を維持するために優れた効果があるとされており、ココナッツが多く取れる地域ではとても大切にされてきました。ココナッツが取れる地域では、ココナッツは食料としても医薬品としても評価されており、ココヤシの木は「生命の木」ともよばれています。

ココナッツは厚い殻に包まれており、その中の液体はココナッツジュースとして飲むことができ、固形の部分は生のまま食べることもできます。一方で、乾燥させると食用のココナッツオイルやスイーツ、ココナッツミルクの原料として活用できます。
日本には、ココナッツミルク、ココナッツオイル、ココナッツパウダーなどに加工されたものが流通しています。

ココナッツがもたらす健康効果

ココナッツには、ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維も多く含まれています。また、中鎖脂肪酸やラウリン酸、抗酸化作用のあるトコトリエノールなども含まれています。そのため、便秘改善効果、美容効果、ダイエット効果、コレステロールを下げる効果、認知症の改善効果などが期待されています。

アルツハイマー病の予防にココナッツが効く可能性

オーストラリアの研究チームは、ココナッツによるアルツハイマー病の予防または治療効果について今まで報告されている論文をまとめ、ココナッツがアルツハイマー病の予防に有効である可能性を2015年9月に「British Journal of Nutrition」誌に発表しました。

引用されている報告によると、アルツハイマー病と診断された人に、ココナッツに豊富に含まれている中鎖脂肪酸を摂取させたところ認知機能の改善が認められたそうです。中鎖脂肪酸は、食べた後にすぐに分解されるので体内に蓄積しないという特徴があります。また、中鎖脂肪酸からはケトン体が作られるので、ブドウ糖の代わりに脳でエネルギー源として使用されるため脳神経にとってよいのではないかと考えられています。

アルツハイマー病の患者さんでは、アミロイドβとよばれる異常なタンパク質が脳に蓄積することが明らかになっています。神経細胞を使った研究では、ココナッツオイルがアミロイドβの沈着を抑え、神経の障害を防ぐこともわかっています。
また、ココナッツジュースに含まれる成分がアルツハイマー病のリスクを減らすこともすでに報告されているそうです。

しかし、水素化ココナッツオイルの摂取によって記憶をつかさどる脳の海馬とよばれる部分の異常や行動の変化(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18560126)、ココナッツオイルによる血液中のコレステロール上昇(http://www.heartfoundation.org.nz/uploads/Coconut_position_statement_2014.pdf)という真逆の影響が出たという報告があることも事実のようです。

研究チームは、ココナッツはアルツハイマー病や認知機能障害の改善に有効である可能性があるものの、多くの人数を対象とした大規模な研究が行われていないため、まだ賛否両論の状態であると結論付けています。

日本でもココナッツオイルの効果がテレビやインターネットを介して宣伝され、健康のために買い求める人が増えたことがありました。一方で、nounowでもまとめているようにココナッツオイルを販売するココナッツジャパンが商品を販売する際にココナッツオイルの効果を誇張させるような表示をしたために販売措置命令が出る事態にもなっています(「ココナッツオイル販売会社に措置命令」から読み取るべきこと )。

今回紹介した論文でもいわれているように、ココナッツオイルを含むココナッツのアルツハイマー病への効果は限定的です。つまり、ココナッツオイルなどがアルツハイマー病に効果があったとされる研究報告はあるものの、対象としている人数が少ないため、今後多くの人を対象とした研究が期待されています。

<参考論文・参考資料>
Br J Nutr. 2015 Jul 14;114(1):1-14. doi: 10.1017/S0007114515001452. Epub 2015 May 22.
The role of dietary coconut for the prevention and treatment of Alzheimer’s disease: potential mechanisms of action.
Fernando WM, Martins IJ, Goozee KG, Brennan CS, Jayasena V, Martins RN.
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25997382)