ブルーベリーエキスで高齢者の認知機能が向上する可能性

工樂真澄

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出典元:pixabay.com

生の実だけでなく、ジャムや冷凍品でもおなじみの「ブルーベリー」。以前に比べれば容易に手に入るようにはなりましたが、食べる習慣がないという方もおられるかもしれません。今回は、ブルーベリーが認知機能へもたらす効果に関する論文をご紹介します。

ブルーベリーの効能

イギリスにあるエクセター大学のBowtell博士らのグループは、ブルーベリーと認知機能に関する研究を行い、2017年に発表しました。研究に参加したのは65歳から77歳までの健康な高齢者26人です。被験者を2つのグループに分け、片方のグループには濃縮したブルーベリーエキス30ミリリットルを、3カ月の間、毎日飲みつづけてもらいました。これは1回分が230グラムのブルーベリーに相当するものです。もう片方は対照グループで、疑似薬として、同等のカロリーの飲料を毎日飲んでもらいました。

実験期間に入る前と期間終了後に、それぞれ認知機能テストを行い、その結果を比較しました。認知機能テストの最中には、機能的核磁気共鳴装置(fMRI)で脳の活性の程度を測定しました。その結果、ブルーベリーを飲みつづけたグループのほうが、対照グループよりも、ワーキングメモリーなどの認知機能が向上していることがわかりました。また、fMRI画像の解析から、ブルーベリーのグループでは脳の血流が多くなり、前帯状回や中側頭回など、脳の特定の領域が活性化していることがわかりました。その中には、意思決定や言語機能をつかさどる領域も含まれていました。以上の結果から、ブルーベリーのエキスには、健常な高齢者の認知機能を改善する働きがあることが示唆されました。

抗酸化作用や抗炎症作用のあるフラボノイド

ブルーベリーの特徴的な深い青紫色は、「アントシアニジン」とよばれる色素によるものです。アントシアニジンはフラボノイドの一種で、抗酸化作用や抗炎症作用があることが知られています。フラボノイドはポリフェノールの中の一つのグループです。ポリフェノールについては以前、緑茶が認知機能改善に効くことをnounowでもご紹介しました。(緑茶をたくさん飲む人ほど、認知症の発症リスクが減る-大崎コホート研究より)

今回の論文のように人工の薬ではなく、日々の食品で認知機能を保つことができるならば、認知症予防としては理想的でしょう。今のところ、ブルーベリーの栄養素がどのように認知機能の改善に貢献するのかはわかっていません。今後、さらに幅広い年齢層や人種を対象に疫学研究が進むことで、ブルーベリーの認知機能への効果も明らかになることでしょう。詳細なメカニズムが解明されれば、軽度認知障害の改善への応用にも期待がかかります。

ご紹介した論文
Enhanced task related brain activation and resting perfusion in healthy older adults after chronic blueberry supplementation.
Bowtell JL. et al. Appl Physiol Nutr Metab. 2017 Mar 1. doi: 10.1139/apnm-2016-0550.

参照文献
「理化学辞典」 岩波書店