不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸、どちらが影響大きい?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

体に良いと言われる不飽和脂肪酸の好影響と 悪いと言われがちな飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などの悪影響、どちらが認知機能によりインパクトを与えるかを調査した研究をご紹介します。

健康食品と不健康食品はどちらが身体に響くか?

酒の飲み過ぎにはしじみがいいとか、肉やナッツだけ食べていれば酒を飲んで良いとか、世の中で喧伝されている健康法には突っ込みどころが多いものがあると思うのですが、果たして普段の食生活では体に良いものをたべることと体に悪いものを避けることのどちらに注力したほうが効果的なのでしょうか。

今回取り上げる論文は、食物油脂の違いが認知機能の低下にどのように影響を与えるかについて調べたものです。

研究では、米国に住む60歳以上の女性482名を対象に、身体に良くない油脂として、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロール、体に良い油脂として一価不飽和脂肪酸の摂取量を調べ、それに加えておよそ10種類の様々な種類の認知機能検査を行い、平均3年間の追跡期間で認知機能が毎日とっている油脂でどう変わったかを調べています。

結論を述べると、”悪い”油脂は認知機能の低下には影響せず
”良い”油脂が認知機能の低下を防いでおり、その予防効果が主に視空間認知(車の運転などで必要な認知機能)で顕著であったことが示されています。

無論フォローアップ期間が比較的短いことや、食べ物に気を使っているヒトは全般的に健康的な生活習慣がある影響もあるだろうという但し書きもありましたが、悪い食べ物を避けるストイックな食べ方よりも体に良いものを取ろうとする楽観的な食べ方・生き方のほうがよいのかなと思ったりしました。

論文要旨

・目標
認知機能低下に対する食物脂肪の効果に関する前向き研究を行う

・デザイン
3年間のフォローアップによる前向き観察研究

・設定
ノースウェスタン大学で募集した女性健康イニシアチブ観察研究に参加した女性とその対照群

・参加者
60歳以上の女性482人

・測定値
基準認知評価(平均= 2回目のFFQ後の平均= 2.9年)の前に2回(平均= 2.7年間隔)行った食品頻度アンケート(FFQ)からの食事摂取量の平均をとった。記憶、視覚、執行機能、言語、注意力のテストは、3年間隔の2つの時点で行った。我々は、各参加者のすべてのZスコアを平均し、フォローアップとベースラインのZスコアの差として定義された全体的認知変化を合計することによって、両方の時点についてグローバルなZスコアを作成した。

・結果
飽和脂肪(SFA)、トランス脂肪(TFA)、食物コレステロール(DC)および一価不飽和脂肪(MUFA)の中央摂取量は、それぞれ18.53g / 日、3.45g / 日、0.201g / 日および19.39g / 日であった 。ベースラインの認知、全エネルギー、年齢、教育、読書能力、アポリポタンパク質E(Apolipoprotein E)を調整した後では,認知低下の程度とSFA(p = 0.69)、TFA(p = 0.54) (ε4)対立遺伝子、BMI、エストロゲンおよびβ遮断薬の使用、ならびにカフェインおよび他の脂肪酸の摂取の間には有意な関連が見られなかった。対照的に、最も低い四分位者の参加者と比較して、MUFA摂取量は、完全に調整された線形回帰モデルにおける認知低下の低下と関連し、最も高い四分位数(0.05 = 0.05)に対して最も低い0.21 + 0.05標準誤差を示した 。このMUFA摂取の効果は、主に視覚および記憶領域であった(両方ともp = 0.03)。

・結論
これらの女性におけるSFA、TFAおよびDCのより高い摂取量は、認知低下と関連していなかったが、MUFA摂取は認知低下が少なかった。

J Am Geriatr Soc. Author manuscript; available in PMC 2012 May 1.
Published in final edited form as:
J Am Geriatr Soc. 2011 May; 59(5): 837–843.
doi: 10.1111/j.1532-5415.2011.03402.x
PMCID: PMC3098039
NIHMSID: NIHMS277624
Monounsaturated, trans & saturated fatty acids and cognitive decline in women
Asghar Z. Naqvi, MD, MPH, MNS,1,2 Brian Harty, MS,3 Kenneth J. Mukamal, MD, MPH, MA,1,2 Anne M. Stoddard, ScD,3 Dr Mara Vitolins, PH, MPH, RD,4 and Julie E. Dunn, PhD5
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション