ダイエット飲料が認知症の発症リスクを上げる可能性

大塚真紀

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出典元:pixabay.com

人工甘味料の摂取が多いとアルツハイマー病の発症リスクが高くなるという研究についてご紹介します。

ダイエット飲料に含まれる人工甘味料とは

最近では、テレビのCMやコンビニ、スーパーなどでカロリーゼロの清涼飲料水をよく見かけるようになりました。チョコレートや飴でも、カロリーゼロの商品が多く販売されています。甘いので満足感はあるけれどカロリーが低いのであれば、ダイエット中の方や女性でも気にせず食べることができてよいかもしれません。カロリーゼロとうたう商品に含まれる、甘さはあるものの砂糖のように体に吸収されないのでカロリーにならないものは人工甘味料とよばれています。

甘味料は大きくわけて、天然甘味料と人工甘味料(合成甘味料)の2つがあります。天然甘味料は砂糖やはちみつなどのことで、天然のものから抽出しています。一方で、人工甘味料は本来存在しない甘味成分を人工的に作ったものをさします。例えば、サッカリン、スクラロース、アスパルテームなどです。砂糖に比べると、サッカリンは約500倍、スクラロースは約600倍、アスパルテームは約200倍の甘さを感じるといわれています。人工甘味料は、その名の通り人工的に作り出したものなので最近では摂り過ぎることによる危険性を指摘する研究もいくつか報告されています。

人工甘味料の健康への影響

アメリカの研究チームが2014年に発表した報告によると、すでに発表されている人工甘味料に関する論文をまとめて比較したところ、人工甘味料を摂取している方がダイエット効果を期待できる、つまり体重減少効果があるとわかりました。

一方で、2015年には他のアメリカの研究チームが人工甘味料の含まれるダイエット飲料を飲むとかえって肥満になるという結果を報告して世界に衝撃を与えました。人工甘味料は砂糖よりも何百倍も甘いので、味覚を狂わせる可能性があり、依存性もあるといわれています。

結果として、人工甘味料ばかり摂っているとより甘いものを好むようになってしまうので肥満や糖尿病の原因になるのではないかと考えられています。また、人工甘味料は人工物なので自然界で分解できず、環境破壊への影響も懸念されています。

マウスを対象にした研究では、アスパルテームという人工甘味料を投与すると気道にアレルギーを起こしやすくなることも明らかになっています。では、人工甘味料による認知症への影響はあるのでしょうか。

ダイエット飲料が認知症の発症リスクを上げる可能性

アメリカの研究チームは、ダイエット飲料の摂取量が多いと認知症の発症リスクが上昇する可能性があることを2017年5月に「Stroke」誌に発表しました。

研究チームは60歳以上の1484人を対象に食事摂取に関する調査票を使用してダイエット飲料の摂取量を解析しました。研究対象者の平均年齢は62歳で、男性は45%含まれていました。10年以上経過観察を行ったところ、81例で認知症の発症を認めました。81例中、アルツハイマー病は63例でした。

結果としては、人工甘味料が含まれるダイエット飲料の摂取量が多いほど認知症やアルツハイマー病の発症リスクが高くなることが分かりました。ダイエット飲料を摂取しない人に比べて、1週間に1缶摂取する人はアルツハイマー病を発症するリスクが2.89倍になることが明らかになりました。一方で、砂糖入りのジュースやコーラなどは認知症の発症と関連しないことが分かりました。

今回の結果はヒトを対象としているので、ダイエット飲料と認知症の発症の相関関係を示した1つのデータといえます。しかし、そのメカニズムはまだ不明な点が多く、今後のさらなる研究が期待されます。

<参考論文・参考資料>
Stroke. 2017 May;48(5):1139-1146. doi: 10.1161/STROKEAHA.116.016027.
Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia: A Prospective Cohort Study.
Pase MP, Himali JJ, Beiser AS, Aparicio HJ, Satizabal CL, Vasan RS, Seshadri S, Jacques PF.
http://stroke.ahajournals.org/content/early/2017/04/20/STROKEAHA.116.016027