チョコレートやココアに含まれるフラボノイドが脳に与える効果

工樂真澄

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「疲れてくると甘いものが欲しくなる」という方は多いのではないでしょうか。これは脳のエネルギー源である糖分を体が欲しているからです。こんなときチョコレートやココアをとると脳の働きがスムーズになり、その後の仕事もはかどるのではないでしょうか。今回は、ココアやチョコレートが認知機能へ及ぼす効果を調べた論文の総説をご紹介します。

チョコレートやココアに含まれるフラボノイドが血流を改善する

以前nounowの記事でもご紹介しましたが(認知症予防にはカカオ成分の多いダークチョコレートがオススメ)、チョコレートやココアは脳に良い影響があるといわれます。チョコレートやココアの元になるカカオ豆には「フラボノイド」が含まれます。これは植物のみが作るポリフェノールの一種で、心臓や血管の働きを助ける効果があることが報告されています。それだけでなく最近の研究からは、神経細胞を守る効果があることも明らかになっています。フラボノイドがどのように脳で働くかは完全に明らかにされているわけではありませんが、疫学的な研究から、チョコレートを定期的に食べている人は、認知症の発症リスクが有意に低くなることも報告されています。

脳に含まれるフラボノイドはそれほど多くありませんが、とくに記憶や学習に関わっている「海馬」に多く存在していることから、何らかの方法で認知機能に影響しているのだと考えられています。たとえば、フラボノイドは血管を広げたり、血小板の凝集を妨げたりすることで血流をよくし、血圧を改善することが知られています。実験でもチョコレートやココアをとった数時間のうちに、脳の血流が増えることが観察されています。そのため、脳の血流が良くなることで、認知機能を維持、または改善するのではないかと考えられます。

ワーキングメモリーや話し方が改善

チョコレートやココアの認知機能への効果を調べた論文は何本もあり、中には有意な結果は得られなかった、と結論づけているものもあります。しかし、多くの研究では認知機能の改善や、話し方が流ちょうになったなどの効果が見られたそうです。とくに軽度認知障害、または健康な高齢者では効果が顕著なようです。

たとえばある研究では、40歳から65歳の健康な63人に1カ月以上に渡って、ココアを日常的に飲んでもらいました。対照群には、フラボノイドを全く含まない飲み物を飲み続けてもらいました。その結果、ココアを飲んでいたグループは対照群と比べてワーキングメモリーテストの結果が良くなっていました。

また2016年に発表された論文では、平均年齢68歳の40人に1カ月にわたってココアを飲んでもらったところ、認知機能の改善とともにBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質の分泌が増えていることがわかりました。このタンパク質は神経細胞の維持や成長に欠かせない因子で、記憶に深く関わっていると言われています。

このように、ココアやチョコレートなどフラボノイドを含む食品を継続的に摂取することで、認知機能に良い影響があることが示されている研究が複数あります。

チョコレートやココアは糖分にも気をつけて

今回ご紹介したように、フラボノイドを多く含むカカオ製品は、脳に良い影響を与えることが期待できます。ただし、チョコレートやココアは体への影響を考えて、なるべく糖分の少ない物をとるほうがよいでしょう。またフラボノイドは血流をよくする効果があるため、血管や心臓に疾患がある方は、かならずかかりつけのお医者さんと相談の上で摂取するようにしましょう。

今回ご紹介した論文
Enhancing Human Cognition with Cocoa Flavonoids
Socci V et al. Front. Nutr., 16 May 2017 | https://doi.org/10.3389/fnut.2017.00019