甘いジュースの飲みすぎは記憶力を低下させる

大塚真紀

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砂糖を多く含んだジュースの摂取量と記憶力との関係についての論文をご紹介します。

砂糖を摂り過ぎていませんか?

疲れた時に甘いものを摂ったら疲れがとれた、脳の活動のためにはブドウ糖が必要、確かにそうかもしれませんが砂糖を摂り過ぎると体や脳に悪影響を及ぼします。砂糖を摂り過ぎると、過剰に食べることを促進するとわかっているのでタバコやアルコールと同じように注意しなければいけません。

例えば板チョコ1枚には約27gの砂糖が含まれ、ショートケーキには約48g、CCレモン350mlでも約33g含まれています。特にジュースはあっという間に砂糖を過剰摂取してしまう可能性があるので、飲みすぎには注意したいものです。

国別の1人当たりの年間砂糖消費量を見てみると、アメリカは約34kg、イギリスは約31kg、インドは約21kgで、日本は約16kgです。他国に比べると日本の摂取量は少ないように思うかもしれません。しかし、食生活の欧米化に伴い糖分の摂取量も増えていく可能性もありますし、甘いものを好みがちな人は控えるようにした方がよいでしょう。
http://sugar.alic.go.jp/world/data/wd_data.htm

砂糖の摂り過ぎが脳に与える影響

では、砂糖の摂り過ぎはなぜよくないのでしょうか。砂糖を摂り過ぎると肥満や糖尿病になることはよく知られていますが、認知症やうつ病とも関連するといわれています。

アメリカの研究チームが2002年に報告した研究によると砂糖を大量に摂らされたラットは脳の記憶や学習に関わる領域の面積が小さくなり、記憶に関わるBDNFという物質の分泌が低下することがわかっています。BDNFは、脳から分泌されるタンパク質のことでうつ病や認知症で低下することが明らかになっています。また、2014年には糖を大量に摂らせたラットの脳に炎症が起き、学習能力が低下し脳の衰えを認めたそうです。
このように過剰な糖分は、体や脳の機能に悪影響を与えます。

甘いジュースの飲みすぎは記憶力を低下させる

ラットを対象にした動物実験では、過剰な糖分が認知症と関連することが指摘されていましたが、ヒトを対象とした研究では明らかになっていませんでした。そこでアメリカの研究チームは、ヒトを対象とした研究を行い砂糖の多く含まれるジュースをよく飲むと記憶力の低下を引き起こす可能性があることを2017年5月に「Alzheimer’s & Dementia」誌に発表しました。

研究チームは砂糖の多いジュースの摂取量はアンケートで調べ、認知機能検査結果と脳の画像検査結果との関連を解析しました。認知機能検査データは4276名、脳の画像データは3846名が対象になっています。

結果を見てみると、ジュースの摂取量が1日に1本以下のグループに比べて、1日に1-2本または1日に2本以上摂取しているグループの方が脳の面積が小さくなっているだけでなく、記憶力も低下していることがわかりました。毎日ジュースを飲んでいる場合には、脳の全体の面積だけでなく脳の中で記憶に関わる海馬とよばれる部分の面積が小さくなっており、記憶力も低下していたそうです。

今回の研究ではジュースの摂取量と認知症の発症との関連は見ていませんが、脳の面積の縮小や記憶力の低下は認知症発症のリスクになる可能性があります。

今回の研究から、砂糖が多く含まれるジュースは控えた方が脳や記憶力のためには良い可能性が示唆されました。

<参照サイト・参考論文>
1) Neuroscience. 2002;112(4):803-14.
A high-fat, refined sugar diet reduces hippocampal brain-derived neurotrophic factor, neuronal plasticity, and learning.
Molteni R1, Barnard RJ, Ying Z, Roberts CK, Gómez-Pinilla F.

2) Hippocampus. 2015 Feb;25(2):227-39. doi: 10.1002/hipo.22368. Epub 2014 Oct 3.
Effects of sucrose and high fructose corn syrup consumption on spatial memory function and hippocampal neuroinflammation in adolescent rats.
Hsu TM1, Konanur VR, Taing L, Usui R, Kayser BD, Goran MI, Kanoski SE.

3) Peptides. 2010 Jul; 31(7): 1346–1352.
Chronic sugar intake dampens feeding-related activity of neurons synthesizing a satiety mediator, oxytocin
Anaya Mitra,2,* Blake A. Gosnell,2 Helgi B. Schiöth,3 Martha K. Grace,2 Anica Klockars,3 Pawel K. Olszewski,1,3 and Allen S. Levine1

<em>4) Alzheimers Dement. 2017 Sep;13(9):955-964. doi: 10.1016/j.jalz.2017.01.024. Epub 2017 Mar 6.
Sugary beverage intake and preclinical Alzheimer’s disease in the community.
Pase MP1, Himali JJ2, Jacques PF3, DeCarli C4, Satizabal CL5, Aparicio H5, Vasan RS6, Beiser AS2, Seshadri S5.