柑橘類を食べると認知症予防になる

大塚真紀

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日本の研究チームがヒトを対象とした研究により、柑橘類が認知症発症を予防する可能性があるとした論文についてご紹介します。

柑橘類の成分

柑橘類と聞くと何が思い浮かぶでしょうか。みかん、オレンジ、でこぽん、グレープフルーツ、レモン、ゆずなど柑橘類には多くの種類があります。世界で考えると100種類以上といわれています。

柑橘類には、体に良い効果のある成分がいくつか含まれていることがわかっています。例えば、ビタミンCやフラボノイド、カロテノイドなどです。
ビタミンCには抗酸化作用があることがわかっています。酸化とは、体の中に過剰に発生した活性酸素が血管や臓器を傷つけることです。酸化は、老化を促進するだけでなく、動脈硬化や肥満、がんなどと関連するといわれています。
フラボノイドは、一般的に果物の皮をむいた内側の白い部分に高濃度で存在します。フラボノイドには炎症を抑える作用があります。
カロテノイドの1種として知られるβークリプトキサンチンは日本人になじみ深い温州みかんに多く含まれており、抗がん作用が注目されています。

柑橘類の健康効果

柑橘類には抗炎症作用、抗がん作用、抗酸化作用など、さまざまな効能があることがわかっていますが、具体的にどのような研究が行われているか紹介します。

2005年に日本の研究チームは、温州みかんの抽出液を糖尿病モデルのラットに投与し、血管の保護作用があることを報告しています。糖尿病では、血管の細胞が傷つき、動脈硬化が進行し心疾患や腎疾患などを合併することが知られています。

また、柑橘類に多く含まれているヘスペリジンには抗アレルギー作用、抗炎症作用があることを韓国とブラジルの研究チームがそれぞれ報告しています。韓国の研究チームは細胞を、ブラジルの研究チームはラットを用いて柑橘類の健康効果を明らかにしました。

柑橘類を食べると認知症予防になる

今までいくつかの研究で、柑橘類に含まれる成分によって認知症の予防効果があることが明らかにされてきました。しかし、ヒトを対象とした研究はありませんでした。
2017年に日本の研究チームがヒトを対象にした研究を行い、「The British journal of nutrition」誌に柑橘類に認知症予防効果があることを報告しました。

研究チームは、研究に参加した13373名に対して、柑橘類を1週間に何回摂取しているか質問票を用いて集計しました。調査結果から柑橘類を1週間に2回未満しか食べないグループ、1週間に3-4回食べるグループ、ほぼ毎日食べるグループに分け、認知症の発症にどのように影響するか解析しました。認知症の発症に関しては、5.7年間にわたり経過を追いました。
研究期間中に8.6%の人が認知症を発症し、柑橘類を1週間に多く食べていればいるほど認知症の発症リスクが減ることが明らかになりました。具体的には、柑橘類を1週間に2回未満しか食べないグループに比べると週に3-4回食べるグループでは18%、ほぼ毎日食べるグループでは23%認知症のリスクが減少していました。

今回の結果から柑橘類は認知症発症を予防する可能性があることがわかりました。今までの研究で、すでに柑橘類には抗酸化作用や抗炎症作用があることがわかっています。認知症の原因は、現在でも全てが明らかにはなってはいませんが酸化や炎症は病因として挙げられています。また認知症の中には血管の病気が原因で発症する血管性認知症も含まれるため、柑橘類による血管保護効果は認知症の発症予防効果があるのではないかと期待できます。

今回の研究は、ヒトを対象として柑橘類の認知症予防効果を示したので興味深いですが、柑橘類の種類までは特定できていません。今後、どの種類の柑橘類が最も効果があるのか、日本人以外を対象とした研究でも同様の結果が出るのか、などの研究が行われることが期待されます。

<参照サイト・参考論文>
1) Biol Pharm Bull. 2005 Feb;28(2):267-70.
Effects of chronic administration of fruit extract (Citrus unshiu Marc) on endothelial dysfunction in streptozotocin-induced diabetic rats.
Kamata K, Kobayashi T, Matsumoto T, Kanie N, Oda S, Kaneda A, Sugiura M.

2) PLoS One. 2011 Apr 29;6(4):e19528. doi: 10.1371/journal.pone.0019528.
C-kit binding properties of hesperidin (a major component of KMP6) as a potential anti-allergic agent.
Jeong HJ, Choi Y, Kim KY, Kim MH, Kim HM.

3) J Pharm Pharmacol. 1994 Feb;46(2):118-22.
Pharmacological evaluation of the anti-inflammatory activity of a citrus bioflavonoid, hesperidin, and the isoflavonoids, duartin and claussequinone, in rats and mice.
Emim JA, Oliveira AB, Lapa AJ.

4) Br J Nutr. 2017 Apr;117(8):1174-1180. doi: 10.1017/S000711451700109X. Epub 2017 May 19.
Citrus consumption and incident dementia in elderly Japanese: the Ohsaki Cohort 2006 Study.
Zhang S, Tomata Y, Sugiyama K, Sugawara Y, Tsuji I.