フランスで早期に認知症を発症した57000例の解析から アルコールの大量飲酒との関係が浮かびあがってきたという研究をご紹介します。
慢性的な大量飲酒は認知症の主要なリスク因子
ランセット・パブリック・ヘルス(Lancet Public Health)」に今月21日に発表された研究論文によると、慢性的な大量飲酒は、あらゆる種類の認知症、特に早期発症型の認知症の主要なリスク因子とのことです。
フランスで早期発症型認知症の5万7000件以上の症例を調査したところ、過半数がアルコール関連の診断をうけており、アルコール摂取障害は、あらゆる種類の認知症でリスクが3倍高くなることことがわかりました。(早期発症型認知症:65歳以下で発症する認知症)
これまでも飲酒と認知症との関連については、少量であればアルツハイマー病の死亡リスクを下げる
(適度の飲酒でアルツハイマー病患者の死亡リスクは低くなる)
という研究、赤ワインが認知症予防に有効とする研究(赤ワインをたしなみ、認知症をふせぐ)
などもありましたが、大量の飲酒に関しては認知症の危険因子とされていました。
今回の調査では、2008年から2013年に認知症と診断されたフランスの成人100万人以上の医療記録を解析し、アルコールとの関連が統計学的に明白であることが示されました。
論文の主著者であるMichael Schwarzinger氏は、「認知症の原因として、アルコール摂取障害の占める割合は従来考えられたよりはるかに大きい」と指摘しています。
大量飲酒とは?
ではどれくらい飲むと「大量飲酒」なのでしょうか?
WHOの定義(慢性過剰飲酒):
男性で1日当たり純アルコール60グラム以上(アルコールドリンク約6杯以上に相当)
女性で40グラム以上
厚生労働省「健康日本21」の定義:
1日平均60gを超える飲酒。
ここでいう60gは、酒に含まれる純アルコール量で、だいたいビール中ビン3本、日本酒3合弱、25度焼酎300mlに相当。
(健康日本21(アルコール)厚生労働省
これくらいは毎日飲んでいるという方も多いのではないでしょうか?
健康日本21では「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールで約20g程度と定義しており、この知識を普及していくとしています。
脳の健康のためにも 適度な飲酒を心がけましょう。