利他的な人と合理的な人では、脳活動が違う

nounow編集部

利他的か自己的か(イメージ)
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相手に協力するかどうかを決断する際に、自己志向的な人と他者志向的な人では脳の活動が異なることがわかりました。人の行動の理由を理解するには、行動結果だけでなくどのような人であるかも考えないといけませんね。

協力する?しない?

あなたは積極的に人に協力をする方ですか?それとも損得勘定を綿密に分析してから合理的に判断する方でしょうか?

人がこれらの判断をする際の脳内活動が解明されてきました。

今年2月、玉川大学脳科学研究所の坂上雅道教授とアラン・ファーミン研究員、山岸俊男特別研究員らによる、利他的な人と合理的な人の意思決定メカニズムの違いについての研究結果が英国科学雑誌に論文発表されました。

掲載論文名:
Representation of economic preferences in the structure and function of the amygdala and prefrontal cortex
(扁桃体と前頭前野の構造と機能における経済的選好の表現)

本研究は世界で初めて社会的価値の志向性の違いが、扁桃体や背外側前頭前野の形態的特徴や活動の違いと関連することを指摘しました。
(引用)玉川大学脳科学研究所プレスリリース 

利他的な人は扁桃体が、合理的な人は背外側前頭前野が活発に

この研究では、自分の持つ資源を他人へ分け与えるかどうかの実験を行い、自分の利益だけを守るか他人の利益まで考えて行動するかの判断において脳がどのように働いているかを調べました。実験では33人の大学生の男女が、事前のアンケートで自己志向的な群と他者志向的な群に分類され、匿名の相手とペアになりお金のやり取りゲームを行いました。

【ゲームの進め方】

  1. Aが先にBに元手の100円を渡す(協力する)かどうかを決める。協力した場合相手には倍額が渡る
  2. BはAの決定を知った上で、今度はAに協力するかどうかを決める

お互いが協力しあうと双方が倍の利益を得ることに繋がりますが、一般的に、自分が協力しても相手が協力しないことを恐れる人は「協力しない」ことを選ぶ傾向にあるといわれています。

お金をぶんどるイメージ
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【実験結果】
自己志向的な人よりも、他者志向的な人がより相手に協力した。左側の扁桃体の体積は、自己志向的な人よりも他者志向的な人の方が大きく、また、全体を通してその体積が大きいほど協力的に振舞った。一方、右側の背外側前頭前野の体積は、自己志向的な人の方がより大きかった。また、左側の背外側前頭前野の体積が大きい人ほど非協力的だった。
(引用)玉川大学脳科学研究所プレスリリース 

この他に、相手に協力するかどうかを決断する際の脳活動を機能的磁気共鳴画像撮影装置(fMRI)で調べたところ、「他者志向的な人は扁桃体が、自己志向的な人は背外側前頭前野がより活発に活動し、またその活動の上昇も速かった」という結果もでています。この違いは相手に協力した時・非協力だった時の両方において見られました。

扁桃体は情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つとされ、背外側前頭前野は扁桃体のバランスを整え判断・意欲などを司る役割を持っている部位です。他者利益と自己利益のどちらを重視するかによって、脳の中では違う意思決定のプロセスがあることがわかりました。これからは人々の行動の理由を理解する際に、「どう行動したか」だけではなく、「どのような人がどう行動したか」という視点でとらえるべきとしています。

社会的価値志向性の違いで脳の形態的特徴や脳活動パターンが異なるなら、行動理由の理解にとどまらず、脳をウオッチして精度の高い行動予測をすることが可能になるかもしれませんね。

(出典)玉川大学脳科学研究所プレスリリース

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