なぜ人はトランプ氏に注目するのか?(脳科学の視点から)

nounow編集部

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出典元:pixabay.com

過激な発言で注目を浴びる共和党のドナルド・トランプ候補。とんでもない爆弾発言や失言を繰り返しながらも、その人気は維持されています。先日、脳科学の視点からトランプ旋風を裏づける実験結果が明らかになりました。

過激な発言を繰り返すドナルド・トランプ氏

毎度世界の注目を集めるアメリカ大統領選挙ですが予備選がこれだけ話題になったことがあったでしょうか?連日話題を提供しているのはもちろん、共和党のドナルド・トランプ氏です。

メキシコ国境に壁を築く、移民を追い出すという主旨の発言をはじめ、排他的な言動は目に余ると言われながらもその人気に陰りは見えません。なぜ、爆弾発言を続け、人権団体が大きく騒いでいるにも関わらずトランプ氏はスポットライトを浴び続けるのでしょうか?

トランプ氏は、いわば不満のはけ口となっており、その中核をなすのが保守層である。連邦最高裁判所が今年6月、同性婚を合憲と判断したことに象徴されるように、米国社会のリベラル化が進んでいるうえ、オバマ大統領は、イラン核合意やキューバとの国交正常化など、立て続けにレガシー(政治的遺産)を手中に収めている。勢い、保守層の間には危機感と不満が鬱積し、これを「怒りのグループ」と称する政治アナリストもいる。
(引用)「トランプブームが示す米国民の憂鬱」青木伸行(産経新聞ワシントン支局長)

彼は言わば鬱屈したアメリカの現状を自分の言葉を使って代弁し、不満を持った国民にとって夢と希望を抱かせる存在になったことで、その人気を保っていると説明できるかもしれません。

どの政治家がもっとも脳に刺激を与えている?

アメリカ大統領選挙(イメージ)
Photo by pixabay

さて、そんなアメリカ大統領選挙とトランプ氏ですが、先月面白い実験結果が発表されました。

その実験は、共和党の主候補4名の中で、誰が最も国民に刺激を与えているかを脳波を測定して分析したものです。

米ヘッジファンド運用会社、SBBリサーチグループの最高経営責任者(CEO)を務めるかたわら神経科学の博士課程に在籍するサム・バーネット氏は、今年の大統領選へ向けた選挙戦で有権者から抽出した集団に候補者討論会を見せ、脳波を測定する研究を進めてきた。
(引用)CNN.com トランプ氏の言動、「脳を刺激」 米研究者が実験

CNNが主催した共和党候補者の討論会の映像を12名の国民に見てもらい、その脳活動を調べたところトランプ氏の声を聴き、顔をみているときに、視聴者の脳は最も刺激を受けていました。マルコ・ルビオ氏は男性だけでみると少し脳波の反応が観測されたようですが、女性および全体でみるとトランプ氏は目覚ましく高い脳波の反応を記録したのです。

この実験で明らかになったのは「トランプ氏を見て話を聴いているときに、誰も退屈していなかった」ということです。特にトランプ氏が得意とする移民のテーマなどは脳の活動を大幅に活発化させたようです。

ちなみに視聴グループの脳波が示した各候補者への関心の強さ順と、翌週のイリノイ州予備選の結果は全く一致したとのこと。

選挙で注目を集めるには、政策の現実性や合理性以上に演出が重要であり、人の脳に刺激を与えた量が投票行動に大きく影響するということが脳科学的に明らかになったといえるでしょう。

「イスラム教徒のアメリカ入国を一時的に禁止する」相次ぐテロ事件を受けて、そう突如として言い出したこともありました。普段のスピーチでは原稿など読まないこの人が、わざわざ手もとの紙に目を落とし、敢えてみずからの声明を読み上げて見せました。
あの発言は思わず出てしまった“失言”ではありません。テロに不安を募らせる世論への影響を最大限に狙ったパフォーマンスでした。過激な発言で注目を浴びるため、周到な計算があったのは明らかです。
(引用)NHK時論公論 「”トランプ旋風”はなぜ止まらないのか」

今のアメリカで不法移民対策は雇用にも直結する重大な問題であることから“メキシコ国境の壁”を主張するなど、民意を嗅ぎ取って敢えて過激な発言を繰り返すパフォーマンスが成功しているといえます。

今回の研究者であるバーネット氏は、この脳波研究を広告や映画、ヘッジファンド業界などへ活用できるか模索しているとのことです。

「脳を刺激する」トランプ氏の勢いがこのまま続くのか、アメリカ大統領選挙、目が離せません。

(参考)
https://politics.slashdot.org/story/16/03/27/1740212/researcher-measures-brain-reactions-to-donald-trump