生きている実感と脳

佐藤洋平

woman-591576_1920
出典元:pixabay.com

自分で運動している感覚は島皮質という様々な感覚を統合している脳領域と関わっているとする論文を紹介します。

なぜ生きていると感じているのか

私達が「生きているなあ」と感じるのは当たり前のような気がしますが、脳に関わる病気では時にこれが失せてしまうことが知られています。

統合失調症になると自分の体が他人に動かされるような感覚になることがあるようですし、うつ病では生きていても生きている実感が無いこともあるようです。また脳卒中では自分の手足が自分のものと感じられないこともあるようです。

普段私達は自分の体が自分の思うように動くことで「生きている感」を得ていますが、この「生きている感」は脳のどの辺の働きと関係しているのでしょうか。

今回取り上げる論文は運動主体感に関わる脳活動について過去の研究をメタ解析したものです。

運動主体感は島皮質と関連

結論を述べると、自分で自分の手足を動かしている感じ(運動主体感)は脳の中でも、島皮質という側頭葉と頭頂葉の間に割って入ったところに隠れている部分と関わっているとのことです。

この島皮質、脳の中の様々な情報が集約され、情動感覚と運動に関わる感覚が統合される場所のようで、それゆえ「動いている感」に関わっているのではないかということが述べられています。

もし私達が生きている実感が薄いと感じるなら、ひょっとしたら思うように手足を動かせていない窮屈さも関係しているのかもしれません。

【論文要旨】
幾つかの神経画像研究から側頭頭頂接合部が運動主体感に関わっていることが報告されている。

しかしこの側頭頭頂接合部の他にも背外側前頭前野や前補足運動野、島皮質や楔前部が運動主体感に関わっていることも報告されている。

本研究では自分で運動している感覚と他者に運動させられている感覚が異なる神経基盤によるものであるという仮説を検証するために過去に行われた15のPETもしくは機能的MRIを用いた合計228名を対象にした研究結果をもとに、メタアナリシスを行った。

結果島皮質のみが自分で運動している感覚に関わっていることが示された。

http://s3.amazonaws.com/…/Different_brain_structures_relate…
Brain Struct Funct. 2011 Jun;216(2):151-7. doi: 10.1007/s00429-010-0298-1. Epub 2011 Jan 7.
Different brain structures related to self- and external-agency attribution: a brief review and meta-analysis.
Sperduti M1, Delaveau P, Fossati P, Nadel J.
Author information

出典:脳科学リハビリテーション