なぜあなたの脳はお金を貯められないのか?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

我々は必ずしもあらゆる場面で合理的に意思決定しているわけではなく、無駄遣いもしてしまいがちですね。意思決定における脳の働きと人の経済行動の関係についての論文をご紹介します。

意思決定に大きく絡む感情

お金は貯めるに難しく使うに易いとも言いますが、なぜあなたの脳はお金を貯めるのがあまり上手ではないのでしょうか(あるいは上手なのでしょうか)?

今回取り上げる論文は意思決定における脳の働きと人の経済行動の関係について述べた論文になります。

よく言われるように古典的経済学ではヒトは合理的に判断するとされています。

これはいろんな切り方があると思いますが、要は無駄な買い物はしないということです。

ところがどっこい合理的であるはずの私たちは、ネットショッピングで無駄な買い物をし、コストパフォーマンスの著しく低い商品を買うために借金し、株は高値で一番含み益の少ない時期に買ったりしますが、これはどういうわけでしょうか。

この論文によるとヒトの意思決定には感情が大きく絡むことが述べられています。

この感情的な意思決定は、脳の中でも原始的な部分である扁桃体と、ヒトになってから発達してきた前頭前野の内側の部分が司っており、意識的・無意識的に直感的な意思決定を促しているようです。

基本的にこの原始脳を中心とする意思決定システムは「いま、ここ」を生き延びるために最適化されたシステムのようで
直感的に危険を避ける、この瞬間の利益を最大にするという点では優れているのですが、長期的に損か得かという判断には劣るようです。

私達があまり賢くない買い物をするときには、おそらくこの原始脳を中心とした意思決定システムが働いているのではないかということが述べられています。

とはいえ、幸せなこの瞬間を繋いでいった合計がおそらく幸せな人生というのもまた真実で、、人生の意思決定というのはなかなかに難しいのかなと思いました。

論文要旨

現代の経済理論は意思決定への感情の影響を無視している。

近年の神経科学分野におけるエビデンスからは、健全で合理的​​な意思決定が、実際には以前の正確な感情処理に依存していることを示唆している。

ソマティックマーカー仮説は、意思決定および感情によるその影響のためのシステムレベルの神経解剖学的および認知的枠組みを提供する。

この仮説の重要なアイデアは、意思決定は、感情や感情の中で自分自身を表現するものを含む、生物調節プロセスで生じるマーカーシグナルによって影響されるプロセスであるということである。

この影響は、複数の動作レベルで発生する可能性があり、そのうちのいくつかは意識的に発生し、その一部は無意識に発生する。

ここでは、仮説から様々な予測を確認する研究をレビューし、感情が環境条件と人間の意思決定プロセスとの間の相互作用の主要な要素である経済的決定のための神経モデルを提案する。

これらの感情システムは、迅速かつ有利な決定を下すと考える。

chrome-extension://oemmndcbldboiebfnladdacbdfmadadm/http://is.muni.cz/…/PSB_951/um/Somatic_Marker_Hypothesis.PDF
The somatic marker hypothesis: A neural theory of economic decision.
Bechara, Antoine; Damasio, Antonio R.
Games and Economic Behavior, Vol 52(2), Aug 2005, 336-372

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション