ニューロフィードバック「DecNef」によって無意識に知覚が変わる?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

意識せずに特定の脳活動の際に報酬が与えられるトレーニングを行うことで、心理学でいう連合学習が生じるとする研究をご紹介します。

ヒトは無意識に何かを学ぶことはできるか

人や動物はいろんなものを紐付けて覚えることができます。

有名なパブロフの犬でもないのですが、餌をくれるたびにベルの音を聞いていれば、ベルの音だけでもヨダレが出るし

魅力的なタレントと何かしらの商品が組み合わされた広告に晒されれば、本来直接的な関係のないその商品に何らかの魅力を感じてしまったりします。

こういった学習は心理学では連合学習と呼ばれるのですが、今日取り上げる論文は、直接的な関係刺激なしに自らの脳活動のみを調整することで連合学習が成り立つかを検証したものです。

DecNef法とは

近年開発されたニューロフィードバック手法にDecNefと呼ばれるものがあります。

これは

①何かをしているときの脳活動のパターンを機能的MRIで読み取り
②被験者に①で得られたのと同じような脳活動を出すように指示し
③同じような脳活動がだせることで金銭的フィードバックをかけ
④結果,①での脳活動を引き起こしやすくなり,結果様々なパフォーマンスも変わってくる

というものなのですが、

この実験では縦縞もしくは横縞を見せ、この縞模様に赤もしくは緑色を背景色として与え、横縞に赤色を感じやすくするようにニューロフィードバック学習を行っています。

このニューロフィードバック学習中は、被験者に背景色は赤と緑の中間色である灰色の横縞模様を見せ、被験者には赤色+横縞で得られたのと同じ脳活動を行えた時に金銭的報酬を与えます。

またこの時被験者には、求められる脳活動が赤色と紐付けられたものとは教えられていません。

このように被験者は意識することなく、特定の脳活動を引き起こすよう訓練すると、横縞を見た時に赤色に感じやすくなること、またこの効果が数ヶ月続くことが示されています。

意識することなく知覚が変わるというのも不思議な話だなあと思いました。

論文要旨

連合学習は、訓練後に異なる事象の一致度の増大を見る重要な脳プロセスである。

連合学習は多くの脳領域で起こることが判明している。

しかし、単一の視覚的特徴(知覚学習)の学習には初期視覚領域が関与しているとの多くの研究が示されているが、視覚的特徴の連想学習が初期視覚領域で生じるという明確な証拠はない。

ここでは、 “DecNef”と呼ばれる機能的MRI神経フィードバックを介して、初期視覚領域で方向と色の連想学習が可能かどうかをテストした。

3日間の訓練の間、DecNefは、主に初期の視覚領域に特定のターゲット色(赤色)に対応する機能的MRI信号パターンを誘導し、垂直方向の無色格子は物理的に参加者に提示した。

その結果、参加者は無彩色の垂直格子において「赤」を「緑」よりも有意に頻繁に知覚するようになった。

この効果は、訓練の3〜5ヶ月後にも観察された。

これらの結果は、向きや色などの2つの異なる視覚的特徴の長期連合学習が作成されたことを示唆している。

連合学習を誘導するこの新たに拡張された技術は、「A-DecNef」と呼ばれ、脳における基本的かつ遍在的な機能であるため、脳機能の理解および修正のための重要なツールとして使用され得る。

Curr Biol. 2016 Jul 25;26(14):1861-6. doi: 10.1016/j.cub.2016.05.014. Epub 2016 Jun 30.
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション