我慢できる脳とできない脳

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

我慢ができる自制的な人と、今の楽しみを優先する人との脳活動の違いについて調べた研究をご紹介します。

好きな食べ物を前にした脳活動の違い

ヒトを乱暴に二つに分けると、将来のために我慢ができる人と、将来のことよりも「いまここ」を優先して生きる人の二種類にわけられると思うのですが、これらの人たちの脳の働きというのはどのように違うのでしょうか。

今回取り上げる論文は、好きな食べ物を目の前にして、食べる/食べないの判断をしている時の脳活動について、我慢できる人と我慢が苦手な人の脳の違いについて調べています。

実験では被験者をその行動傾向から我慢のできる人とできない人に分け、
健康的/不健康的、おいしい/おいしくないのマトリックス(不健康でおいしい:チョコレート、健康でおいしくない:生のにんじんなど)で様々な食物を見せ、食べる/食べないを判断させています。

我慢ができる人もできない人も、不健康でおいしいものを見たときには、脳の中のココロの中枢とも捉えられる腹内側前頭前野の活動は同じくらい高くなるのですが、
我慢のできる人は同時に理性の中枢とも捉えられる背外側前頭前野の活動も同時に高くなり、不健康でおいしいものを食べるという判断を控えさせる傾向があることが示されています。

太っちょもストイシズム溢れる人も同じようにチョコにココロを動かされるというのが面白いなあと思いました。

論文要旨

私たちは日々,より高い総合価値とより魅力的ではあるが最終的に劣る選択肢の間で数十の選択を行っている。

最適な意思決定には自己制御が必要である。

私たちは、自己制御の神経生物学に関する2つの仮説を提唱している。(i)目標指向の決定は、腹側前頭前野(vmPFC)にコード化された共通の値信号に基づいており、(ii) 背側前頭前野皮質(DLPFC)によるシグナルによって制御されている。

被験者がどの食べ物を食べるかの実際の決定を行っている間、我々は機能的な磁気共鳴イメージングを使用して脳の活動を測定した。

vmPFCの活動は、自己制御の量にかかわらず目標値と相関していた。

自己制御できるものについては、それは味覚と健康の両方の要素を反映していたが、自己制御が十分でない被験者には味覚のみが反映されていた。

被験者が自制的な判断を行っている時、vmPFCの活動と相関してDLPFCの活動は増加していた。

Science. 2009 May 1;324(5927):646-8. doi: 10.1126/science.1168450.
Self-control in decision-making involves modulation of the vmPFC valuation system.
Hare TA1, Camerer CF, Rangel A.
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション