リスクを判断するときの脳活動

佐藤洋平

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日常において、リスクを伴う決定をしなくてはいけない場面が多々ありますが、その時の脳活動について調べて研究をご紹介します。

腹をくくるとき,あなたの脳はどう活動するか?

日常生活というのは平穏なようでいて、よくよく考えるとリスクテイクの連続です。

スーパーで安いレタスを手に取れば、中がいたんでないのかどうかのリスクを取らなければいけないし、
子どもにお菓子を買い与えれば、これが子どもをダメにしてしまわないかとリスクを考え、
この会社と契約しても大丈夫なのか、あるいはもう歩行練習を開始しても大丈夫なのかと、日々さらされるリスクというのは無数にあると思うのですが、
腹をくくってリスクを取る時、あなたの脳はどのように働いているのでしょうか。

今回取り上げる論文は、リスク判断に関係する脳活動について過去に行われた研究を取りまとめて考察したものです。

この研究では、過去に機能的MRIを用いて行われたリスク関連研究30本のデータを元にリスク判断に関連する脳領域について統計学的に求めているのですが
その結果として

①リスク刺激が入ると二つのシステムが駆動する。一つは情動的リスク判断システムともう一つは認知的リスク判断システムである
②情動的リスク判断システムは前部島皮質と視床がその中心となる
③認知的リスク判断システムは背内側前頭前野がその中心となる
④情動的リスク判断システムと認知的リスク判断システムは相互に連絡しながら,その判断結果を背外側前頭前野と頭頂葉を中心としたリスク決定システムに渡す

という仕組みになっているのではないかということが示されています。なかなかうまくできているなあと思いました。

論文要旨

日常生活では、危険な結果を伴う決定をしなければならないことがよくある。

しかし、これまでのところ、脳がどのようにしてリスクを処理するかについてはほとんど知られていない。

最近の危険な意思決定の概念化は、それが一般的に感情と関連しているが、感情がどのようにリスク処理に関与しているかを特定していないことを強調している。

さらに、選択を伴わない状況におけるリスク処理と潜在的な損失がリスク処理にどのように影響するかについてはほとんど知られていない。

ここでは、(1)リスク処理がどのように感情に影響されるか、(2)選択しなければいけない場面と選択を伴わない場面でどのように異なるか、(3)損失の可能性がある時リスク処理がどのように影響を受けるか、について考察を行う。

損失が起こったときの変化不安、失望、後悔などの嫌悪感情を処理することが知られている脳領域である前部島皮質には、一連の実験やパラダイムで一貫してリスクと関連した活動が示されていることから、リスク処理が感情の影響を受けるという証拠になりうると考える。

さらに選択を伴う状況においては背側前前頭皮質および頭頂皮質におけるリスク関連活動を示すことが示された。

前部島皮質は潜在的な損失の可能性がある時に活動することから、潜在的な損失がリスク処理を調節することが考えられた。

J Neurosci. 2010 May 12;30(19):6613-9. doi: 10.1523/JNEUROSCI.0003-10.2010.
Neural processing of risk.
Mohr PN1, Biele G, Heekeren HR.
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション