なぜあなたはそれを買うのか?脳の中の3つの価値づけシステム

佐藤洋平

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何かを選択するということは価値判断をしているということですが、脳は価値判断の際にどのような活動をしているかについての研究をご紹介します。

価値判断に関わる脳活動とは

人生が何かと聞かれれば、案外その答えは「選ぶ」ということになるかもしれません。

小さいところでは、お昼に何を食べるかといったところやデートに何を着ていくかというのも選択ですし、大きいところでは誰と結婚するのか、どこの会社に就職するのか、積極的な延命治療をするのかしないのかなど、人生は選ぶことで彩られていきます。

脳科学的に考えればこの選択行為、言い換えれば価値判断というのはどのようになされているのでしょうか。

今回取り上げる論文は、脳の中の価値判断中枢について詳しく調べたものです。

実験ではサルの前頭眼窩野の神経細胞の活動を直接測定しています。

実験では3種類のジュースを用意し、その中から2つの対を作り、それを様々な条件(リンゴジュース10ccとパッションフルーツジュース5ccではどちらを取るかなど)で選択させ、その時の神経細胞の活動を見ているのですが、この実験から価値判断に関わる3種の活動があるのではないかということが述べられています。

この3つというのは「価値」、「味」、「量」なのですが、

「価値」細胞は好きなものが多ければ多いほどよく活動します。

コーラの「価値」細胞があるとすれば、これはコーラが飲める時発火するのですが、350mlよりも500mlのボトルのほうがバチバチ発火するし、2Lのボトルではもっともっとバチバチするような、好きなものが多ければ多いほど発火するような細胞です。

もう一つは「味」細胞で、これはコーラの味細胞であれば、その容量に関わらず、コーラの味に対してクールに同じようにパチパチ発火するような細胞です。

もう一つは「量」細胞で、これはコーラであれ何であれ、飲み物があればあるほどパチパチ発火するような「食えればいい、お腹がいっぱいになればなんでもいい」というような活動をするような細胞です。

高いけど美味しいチョコを少しだけ選ぶのか、味はそこそこだけど安いチョコをいっぱい食べられる方を買うのかという選択はよくあると思うのですが、
こういった価値判断にあたっては上記3つの神経細胞の働き具合で決まってくるのではないかということで、価値判断というのはなかなか良くできているなあと思いました。

論文要旨

経済的な選択を行う際には、利用可能な選択肢に対する値付けを伴うが、前頭眼窩野(OFC)の病変によってこの機能が損なわれる。

最近の結果は、OFCのいくつかのニューロンが、それらの間で選択するときに、異なる品物に割り当てられる値をコード化することを示している。

広範かつ根本的な問題は、このニューロン表現の価値が行動の文脈にどのように依存するかである。

ここでは、OFCのニューロン応答が典型的にはメニューの変化に対して不変であることを示す。

換言すれば、ある特定の品物に応答するニューロンの活動は、通常、他の品物が同時に利用可能であるかどうかに依存しない。

OFCのニューロンは、相対的な好みではなく、経済的価値をコード化する。

彼らの応答がメニュー不変であるという事実は、経済的選択の基本的特性である過渡性が、個々のニューロンの活動に根ざしている可能性があることを示唆している。

Nat Neurosci. Author manuscript; available in PMC 2009 Feb 22.
Published in final edited form as:
Nat Neurosci. 2008 Jan; 11(1): 95–102.
Published online 2007 Dec 9. doi: 10.1038/nn2020
PMCID: PMC2646102
NIHMSID: NIHMS86066
The representation of economic value in the orbitofrontal cortex is invariant for changes of menu
Camillo Padoa-Schioppa and John A. Assad
The publisher’s final edited version of this article is available at Nat Neurosci
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション