あいつはいくらまで出す気があるのか?支払い意思額の脳科学

佐藤洋平

money-2328715_1920

何かを見ていくらまでなら支払うかという金額を決めるとき、どのように脳が活動しているのかについての研究をご紹介します。

支払い意思額と脳活動

物の値段に定価というものが付いたのは、歴史的に見てもごく最近のようですが、外国の市場に行くと値段もあってないようなものだったり、
あるいは商売をされる人というのは利益を最大限出すために相手の懐具合を見る必要に迫られると思います。

こういった相手がいくらまで出せるかという金額のことを支払い意思額(Willingness to pay)と呼ぶそうです。

この支払い意思額が透けるように見えたら商売も楽になると思うのですが、こういった情報は脳科学的にはどのように示されるのでしょうか。

今回取り上げる論文は、この支払い意思額と脳活動の関係について調べたものです。

実験では、空腹状態にさせた被験者に画面上に示される食品についてオークション形式で値段を提示させ、その時の脳活動について調べています。

結果として脳の中でも、人を欲しいものに向かって突き進ませる報酬系の中枢の内側前頭眼窩皮質と、理性知性の中枢とも捉えられる背外側前頭前野の活動が、支払い意思額と関連して活動することが示されています。

やはり金払いというのは理性と情動のせめぎあいの中で生まれるのかなと思いました。

論文要旨

すべての経済取引の不可欠な要素は、購入者が販売対象と引き換えにあきらめることのできる最大限の財源を計算する支払い意思額である。

この概念は広く普及しているにもかかわらず、脳がこの計算をどのようにするかについてはほとんど知られていない。

我々は、支払い意思額の神経基盤を、機能的磁気共鳴イメージングを用いて空腹の被験者の脳を走査することによって調査した。

実験では異なる食品を食べる権利について実際の入札を行った。

我々は、内側眼窩前頭皮質および前外側前頭皮質における活性が被験者の支払い意思額をコードすることを見出した。

我々の結果は、内旋回前頭皮質が意思決定における目標の価値をコード化するという仮説を支持する。

J Neurosci. 2007 Sep 12;27(37):9984-8.
Orbitofrontal cortex encodes willingness to pay in everyday economic transactions.
Plassmann H1, O’Doherty J, Rangel A.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション