脳科学的にみて売れる曲とは?

佐藤洋平

piano-1655558_1920

売れる曲というのは往々にして「キャッチー」であることが多いですが、音楽を聞いている時の感情と脳活動の関係についていままでの研究を取りまとめて説明を行っている論文をご紹介し、キャッチーな曲が好まれる理由を考察してみます。

なぜ「キャッチー」な曲が売れるのか

地球上で生み出される楽曲の数というのは、おそらく年間に発表される学術論文の数よりもよほど多く、
そのなかでもヒット曲になるような曲は限られており、しかもそういったものは往々にしてキャッチーな、受けそうで旋律を覚えやすそうな曲調によるものが多いと思います。

では脳科学的に考えた時に、なぜキャッチーな曲のほうが人々の脳に好まれるのでしょうか。

今回取り上げる論文は、音楽を聞いている時の感情と脳活動の関係についていままでの研究を取りまとめて説明を行っているものになります。

この論文によると、なぜヒトが音楽を聞いて喜びを感じるのかについて様々な仮説的見解を提示しています。

一つの仮説としては心理学の立場から提唱されている音楽の喜びは予想的中と関連するというもので
音楽を聞いている時、私達の脳は無意識に、そろそろサビの部分にこんな風に入っていくだろうという予測を立てており、これが的中することで脳幹にある報酬系を構成する脳領域からドーパミンが放出され、スロットマシンが揃ったようなときのような予想的中による快楽が得られ、これが音楽を聞いている快感につながるのではないかというものです。

もう一つの仮説としては、音楽を聞いている時の喜びは他者への感情的共感によるもので、これは身に覚えがある様な歌詞を聞いていることで惹起され、脳の中でもイメージ生成に関連する前頭前野内側領域が関与するのではないかということが述べられています。

キャッチーな曲というのは、期待を裏切らない定番の曲調と、「あるある」的な歌詞の組み合わせでできており、それゆえヒトの脳の報酬系やイメージ生成システムをより良く賦活し、最大公約数的に大多数のヒトに好まれるのかなあと思いました。

論文要旨

人間の脳における音楽処理を研究する研究の数は増加し続けており、その大部分はいわゆる音楽的感情の相関に焦点を当てている。

本レビューでは、幸福や悲しみのような基本的な感情だけでなく、郷愁や驚嘆などのいわゆる音楽特有の「美的」感情にも関係しているという最近の発達が強調されている。

また生理学的方法や神経イメージング法による捜査と実証から、音楽的感情を誘発すると見なされる期待や共感などのメカニズムが関わっていることが示されている。

これらのアプローチの組み合わせ、すなわち、いわゆる音楽特有のまたは美的感情が生じる可能性のある正確なメカニズムの調査が、音楽体験の独特の性質を理解するために最も重要な進歩を提供されうると考える。

J Comp Neurol. 2016 Jun 1;524(8):1676-86. doi: 10.1002/cne.23854. Epub 2015 Jul 30.
Basic, specific, mechanistic? Conceptualizing musical emotions in the brain.
Omigie D1.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション