資産運用能力と加齢の関係

佐藤洋平

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高齢者はリスクを回避し賢いというイメージがありますが、資産運用能力と加齢の関係について調べた研究をご紹介します。

高齢になるほど失敗することが多い?

高齢者というと一般的には人生経験が豊富で賢く、リスクの高い行動は控えるというイメージがあります。

しかしながら多くの研究は金融資産の運用については、高齢者のほうが大きな失敗をする傾向があることを示しているのですが、こういった現象は脳科学的にはどのように考えることができるのでしょうか。

今回取り上げる論文は、資産運用能力と加齢の関係について調べたものです。

実験では19歳から85歳の110名(女性54%)を対象に投資課題を行わせ、その時の判断傾向と脳活動について調べています(脳活動の測定を行ったのは54名のみ)。

投資結果を見ると、高齢者になるほど高いリスクを取って失敗したり、混乱して失敗したりすることが多くなり、理性的な判断能力も低下することが示されています。

このような現象の背景には、脳の中の報酬系の中枢である側坐核の活動が、あるときは高くなったり、ある時は低くなったりして安定しないこと、この不安定な側坐核の活動の背景には、加齢によってドーパミンの代謝が変化することが関係しているのではないかということが述べられています。

プロの投資家は中年に差し掛かると引退するという話を聞いたことがあります。個人差はあると思いますが投資は若い人のほうが勝率がよいのかなと思いました。

論文要旨

人間の平均寿命は高まっており、高齢化する投資家の財務的決定は、世界経済に影響を与える可能性がある。 本研究では、機能的なニューロイメージングとダイナミックな金融投資課題を組み合わせることで、成人のライフサイクル全体にわたる財務決定の年齢差を調べた。

この課題では、高齢者は、危険な資産を選ぶ際に若年層よりも最適な選択肢を選ばなかった。 この年齢関連の効果は、側坐核の活動における時間的変動の神経的尺度によって媒介された。 これらの知見は、加齢が合理的な財政的選択を混乱させる可能性のある新規な神経機構を明らかにするものである。

J Neurosci. 2010 Jan 27;30(4):1426-34. doi: 10.1523/JNEUROSCI.4902-09.2010.
Variability in nucleus accumbens activity mediates age-related suboptimal financial risk taking.
Samanez-Larkin GR1, Kuhnen CM, Yoo DJ, Knutson B.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション