公民の連携で認知症施策展開(神戸市・日本イーライリリーなど)

nounow編集部

日本イーライリリー社と認知症施策で包括連携協定を結んだ神戸市

先端医療集積を図ってきた神戸市が、日本イーライリリー社と認知症施策で包括的な連携協定を結びました。公民連携で効果的な施策が行われることが期待されます。

公民連携で認知症施策を展開

3月15日(火)、日本イーライリリー株式会社(本社:神戸市、代表執行役社長:パトリック・ジョンソン、以下「日本イーライリリー」)は、神戸市、公益財団法人先端医療振興財団(以下、「先端医療振興財団」)と、認知症に関する協定書を締結したことが報道されていました。2025年には国内認知症患者は700万人にものぼると推計されている中、公民で連携してお互いの強味をいかし効果的な認知症施策が展開されることが期待されます。

神戸市は震災後に先端医療集積を図ってきた

1995年1月17日の阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた神戸市ですが、震災後の復興の中で「神戸医療産業都市」を掲げ、ポートアイランドを拠点に先端医療機関の集積を図ってきました。

先端医療振興財団は、神戸医療産業都市の中核的支援機関として、医療技術に関る基礎研究成果を迅速に臨床へ橋渡しする研究(ICR:Integrative Celerity Research:統合化迅速研究)の推進、先端医療の提供、メディカルイノベーションシステムの構築に取り組み、神戸クラスターの形成を促進するとともに、メディカルイノベーションを具現化することで、神戸市並びに関西地区の経済の活性化や市民及び国民の健康・福祉の向上、さらに世界の医療水準の向上にも貢献することを基本的なミッションとしています。
(引用)先端医療財団HP http://www.ibri-kobe.org/

財団の平成26年度年次報告書によると、出絹団体は製薬企業をはじめ、インフラや鉄鋼業、流通、電機メーカー、金融機関、商社など大手の企業がずらりと並んでおり、神戸市の力の入れようがわかります。
また、日本イーライリリーもその一つに数えられています。

本協定の連携事項は以下の通りです。

  1. 認知症に関する臨床研究の推進 日本イーライリリーが実施する認知症治療薬の治験に対して先端医療振興財団がその保有する設備、資源を活用し協力する。
  2. 認知症に対する理解促進及び意識啓発 三者共同で認知症に対する市民の理解を促進するために啓発ムービー等を作成するとともに、市民並びに専門家に向けた認知症に関するサイエンスフォーラムを開催する。
  3. 認知症に関する海外先進事例の情報提供 日本イーライリリーの海外ネットワークを活用し認知症に関する海外都市の先進事例の情報を収集し、神戸市、先端医療振興財団に対して提供するとともに、共同で勉強会を開催する。
  4. 神戸医療産業都市の情報発信 三者それぞれのネットワークを活用し、本協定による取り組みをはじめ、広く神戸医療産業都市の情報を内外に発信する。

認知症に対する理解促進、意識啓発から認知症の治療・新薬開発に関する臨床研究・臨床試験の推進まで多岐に亘っており、早期発見から治療・発症後のケアまで包括的な認知症対策を目指した内容となっています。

(引用)日本イーライリリー株式会社プレスリリース
https://lilly.co.jp/pressrelease/2016/news_2016_009.aspx

パトリック・ジョンソン代表執行役社長は記者会見で「我々はここ数年かけて本社をどこへ置くべきかを議論してきた。その結果、向こう数十年に渡って日本法人本社を神戸に置き続けるという決定をした」と述べていました。理由として、神戸は世界第一級の先端医療集積地であり、ここに残ることで素晴らしい環境に身を置きながらイノベーションに取り組めることや社員の働く環境への配慮などにも触れ、神戸の医療集積のまちづくりに貢献したいことを挙げていました。

さらに会見では、イーライリリーは研究開発型の製薬企業であり、合併をせずに独立を保ちイノベーションによる成長を実現してきた稀な企業であることや、認知症の研究開発に取り組んでおり特にアルツハイマー病には25年以上力を入れてきたことなどを強調し、2025年までに予防可能な疾患にすることを目標にすると述べています。

今回の連携協定の名称は「神戸医療産業都市における認知症にやさしいまちづくり推進のための連携と協力に関する協定」であり、神戸市としては産業医療都市の特徴を反映した取り組みです。これが自治体間の“善政競争”を呼ぶきっかけになることを大いに期待したいところです。今後の活動に注目ですね。


(出典)日本イーライリリー株式会社プレスリリース
https://lilly.co.jp/pressrelease/2016/news_2016_009.aspx
神戸市プレスリリース
http://www.city.kobe.lg.jp/information/public/media/movie/mayor/index.html

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