ニューロフィードバックでモチベーション向上!?

nounow編集部

意欲と集中力(イメージ)
出典元:pixabay.com

近年、脳波をセルフモニタリングして集中力を高めるニューロフィードバックが広がりつつあるようです。ニューロフィードバックによって集中力だけでなくモチベーションも高めることができるとする研究が発表されました。様々な脳活動をコントロールしたり疾患の治療に用いられるようになるかもしれません。

ニューロフィードバック技術とは?

デバイスを装着して脳波を測定しセルフモニタリングする技術をニューロフィードバック、ニューロフィードバック技術を使って脳を良い状態にコントロールし集中力を高めるトレーニングをニューロフィードバックトレーニングといいます。

SenseLabs社の「Versus」、NeuroSky社の「MindWave」などがニューロフィードバック技術の代表的な商品です。

オリンピックに出場したバレーボール選手であるケリー・ウォルシュは最近、新しいトレーニング法のルーチンを取り入れた。週3回、頭に携帯用の脳波モニター装置を取り付けてiPadのゲームで遊ぶのだ。
デヴァイスの名前は「Versus」、開発したのはSenseLabs社だ。これを使えば、EEG (脳波記録法) を利用して自分の脳波を調べられるのだ。心が落ち着いて集中していれば、ゲームの点数はよくなる。そうして、ゲームで遊ぶときだけでなくバレーボールの試合中、そして生活の隅々で、精神の集中を身につけるのだ。
(引用)https://wired.jp

脳波を可視化し「心が落ち着き集中している状態」を自ら把握しやすくすることで、集中する術をより早く身につけることができるというわけです。

もともとADHDの症状を軽減することに活用されていましたが未だその効果については懐疑論もあるようです。最近は脳ビジネス先進国の米国においてスポーツ選手やビジネスマンが集中力を強化するためニューロフィードバック技術を活用することが広がりつつあるようです。

ドーパミンの供給源VTAを活性化するニューロフィードバック

2016年3月16日のNeuron誌にデューク大学の科学者たちによる新しいニューロフィードバックに関する研究が掲載されました。

この研究ではVTA領域(動機付け、学習や記憶の役割を担う神経に影響を与えるドーパミンの主な供給源となっている脳深部の腹側被蓋領域)にフォーカスし、ニューロフィードバックによってVTAを自ら活性化させることができるかを実験しました。

まず被験者に20秒間、自らの方法で動機付けとなるような感情を持つように促しました。被験者は勇気づけてくれる両親やコーチを想像したり、報酬が与えられた仮定シナリオを脳内で演じてみるなど様々な動機付け戦略を試みたものの、自らVTA領域を活性化させることができませんでした。

しかし、科学者たちがVTA領域からのニューロフィードバックを温度計のように可視化して被験者に与えたとき、被験者はどの動機づけ戦略がよりワークするのかを理解でき、最終的にはより効率的な動機づけ戦略を採用することができました。対照群と比較して、ニューロフィードバックで訓練された被験者は、VTA活動を上げることができたわけです。

ニューロフィードバックの可能性

集中力や意欲をコントロールする(イメージ)
pixabay.com

つまりニューロフィードバック技術は集中力を鍛えるだけでなく、学習や意欲に関わる領域も活性化させることができ、幅広く脳の活動に変化を起こす可能性があることが明らかになったわけです。

この実験はfMRIで脳の状態を計測していること(前述のニューロフィードバック製品のように手軽に利用できるものではない)、被験者の実際の行動にどう結びついたかは調査していないことなどは考慮すべきですが。

脳のどの部分が何を司っているかについての機能解明は加速しており、それぞれの部位のニューロフィードバック技術が進化すれば様々な認知機能や意欲をコントロールできるようになるかもしれません。また多くの神経疾患の症状軽減、認知症予防に活用できる可能性もあるでしょう。さらなる技術の進化に期待が集まります。

(出典)Jeff J. MacInnes, Kathryn C. Dickerson, Nan-kuei Chen, and R. Alison Adcock. Cognitive Neurostimulation: Learning to Volitionally Sustain Ventral Tegmental Area Activation. Neuron, March 3, 2016. DOI: 10.1016/j.neuron.2016.02.002

(出典)http://www.kurzweilai.net