神経を刺激して言語習得スピードがアップする、夢の技術

nounow編集部

語学習得が楽になる(イメージ)
出典元:pixabay.com

末梢神経系への刺激により学習能力の向上を目指す研究プロジェクトをDARPAが開始しました。特に語学学習スピードの向上が期待されています。多くの日本人が語学習得に挫折を繰り返す時代は終わりを告げるのでしょうか?

DARPAの特定神経可塑性トレーニング

2016年3月、DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)は学習能力を向上させる末梢神経への刺激などの方法を探る、特定神経可塑性トレーニング(TNT)という研究プロジェクトを発表しました。

すでにDARPAは末梢神経系の標的刺激を、疾患の治療や義肢のコントロール、食感の回復に役立てる研究を進めていました。今回DAPRAはさらに歩を進めて、末梢神経を刺激して学習に関連する脳の領域を活性化し学習速度を早める研究をはじめました。末梢神経を刺激する非侵襲的なデバイスの開発を目指すとのことです。TNTによって国防省のトレーニングのコストと期間を下げて、言語専門家らのトレーニング効率を高めることができるとしています。

具体的なメカニズムはよくわかっていないようですが プロジェクトリーダーのウエバー氏曰く

末梢神経への刺激は、「臨界期」と呼ばれるいわゆる脳が柔軟で適応しやすい状態を再開すると考えてもいい。TNT技術は、学習過程においての最適点の可塑性を安全に、確実に調節できるように設計される

とのことです。

臨界期とは?

ある行動の学習が可能な一定期間のことを、専門用語では「臨界期」と言います。いくつかの動物の行動に臨界期があるように、人間の言語習得においても、臨界期が存在すると考えられています。

第二言語習得における臨界期仮説とは、臨界期の年齢を過ぎると母語以外の言語の習得が不可能になるという仮説のことです。

人間の臨界期は7歳くらいまでといわれますが 実はもっと早い時期に「聞く音と聞かない音の選別」をしているとの研究結果があります。

赤ちゃんの脳と言語のメカニズム(イメージ)
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ワシントン大学の学習脳科学研究所所長パトリシア・クール氏が、子供の成長過程における、脳と言語のメカニズムに関するスピーチをTEDで行っています。

生後6~8カ月であれば、米国・日本どちらの国の赤ちゃんでも、“r” と “l”の音を聞き取ることができます。しかし、10~12カ月の赤ちゃんでは、日本人の赤ちゃんは“r” と “l”の音を聞き取れなくなっています。この2ヶ月の間に赤ちゃんはお母さんや周囲の人々の言語を統計処理しているとのことです。

赤ちゃんは 言語の統計を吸収し それが脳を変化させるのです。世界市民から、私たちのような文化に縛られた聴き手へと変わるのです。私たち大人はもはや統計を吸収しません。私たちは発達の初期に形成された記憶の中の表現に支配されているのです。

(引用)https://www.ted.com

DARPAのTNT技術が我々大人の脳を一定時間臨界期に戻してくれるなら、その間新たに脳が統計処理をし言語習得は加速しそうです。本当に実現すれば画期的ですね。

自動翻訳と学習速度向上技術の競争?

人工知能による自動翻訳の進化と、神経刺激による言語習得速度をあげる研究のどちらが早いか。

人工知能の進化は早いものの、常識をベースに文脈を判断しないといけない翻訳は難しく、完全な自動翻訳は少し先になりそうという話があります。やはりまだ語学学習は必要なようですが、となると学習スピードを上げる技術は有望かもしれません。

いずれにせよ英語がハードルになりがちな日本人にとっては、科学技術の進化が待ち遠しいところですね。

(出典)http://www.darpa.mil/news-events/2016-03-16
(出典)http://www.kurzweilai.net/
(出典)https://www.ted.com/